「おい、コイツどうにかしろ」


未だわんわんと泣きじゃくる黄瀬を放り投げて来たのはキャプテン。自分よりも大きい図体を簡単にわたしに押し付けて、森山先輩たちのいる控室に入った。ドアを、バタン!と音を付けて閉められた。控え室に入っていったのは、三年生だけ。たぶん、今は入るなってこと。




「よしよし」

海常は、負けた。このチームでの、最後の試合。私たちは、誠凛に負けた。それはそれは僅差。しかも、黒子くんのブザービーター。かつてのチームメイトに。

大好きだったこのチームが、終わる。




「うっ、あっ、ああーっ、ふっ、がぢ、、だ、がっだ、っス、」

「うん、勝ちたかったね」


189cmの大きな体を、マイナス約30cmほどのわたしが抱きしめる。わたしのジャージを掴んで、止まらない涙を抑えることも出来ず、声をあげて泣いている黄瀬を、わたしは背中をポンポンとたたきながら、慰めている。鼻水とかも垂らしながら泣いているんだろうなぁ



黄瀬とは高校で知り合った。まず、わたしはバスケなんて初心者だったし、ルールも全然知らない状態で、マネージャーとして五月に入部した。たまたま体育館を通って、うわぁ!ってなって、衝動的に入ったんだけど。
黄瀬やキャプテン、部員みんなが輝いて見えた。怖いほどに。女の子の見学はいたが、黄瀬目当て。

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