「はぁ…っ…はぁ………」


荒い息を続けるわたしと、もうすでに、ほぼいつも通りの部長。ささっと処理を済ませ、歪んだネクタイを整えている。もうその顔は、部長の顔に戻りつつある。




なんて人なんだろう。




床にバラけた資料を拾いまとめ、わたしのそばにおいた。額にキスをされただけ、そのままドアに向かった。




じきにわたしも出ようと、まとめられたいくつかの資料を拾うと、一番上には探していたやつ。


本当に、なんて人。








オフィスに戻ると、課長に提出。やー、長い時間かけて探してくれて助かった!ありがとう!とお礼を言われ、なんとも言えない気分になる。デスクに戻ると、パソコンを開いた。









正直、気持ちよかった。あんなシチュエーション、AVだけだと思ってた。背徳感をたくさん感じつつも、結局は最後までやってしまった。もちろん、こんなの初めてで。会社の服のまま、スカートだけを捲り、彼と繋がっていたわけで。興奮した。こんなとこで、と。



好きじゃないのに、セックスできるだなんて思ってなかった。



いや、もしかしたら、…?



あの太い腕に支えられて、力任せに挿入されたのに、それでも文句のひとつも出てこない、この有り様である。それよりも、まだ触れていて、と、ねだりたい思いも湧いて、性欲に駆られ、彼の言うがままに体が動かしていた。








「なに、お前、調子わりーの?」


「…ううん。倉庫、空調効いてないから暑かったの」


「ふーん」





平気で嘘だって吐けるようになっていた。

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