あれは、なまえがミスをしてしまった時のこと。そこそこのミスで、俺がなんとかしたり、他の社員の助けもあって、難なく丸く収まったものの、当の本人はなかなかに落ち込んでいた。彼女は、いつも頑張っていたし、努力していたので、頑張った故のミスということで、誰も責めたり、咎めたりはしなかった。 「(気にするのはいいが、…別にこのくらいのことで、そんなに、なぁ…)」 ちょうど、その日は、うちの部署の新年会。ミスを忘れるかのように、彼女は飲んだくれた。いつもは礼儀正しい彼女なので、そんなにたくさんは飲んだりしないのに、今日のミスあって故だろう、ペースが早かった。 「俺は二次会行かないし、みんなだけで楽しんでくれ。あと、コイツ連れて帰るわ。じゃあ、みんなお疲れさま。おやすみ」 「おつかれさまですー!」 「おやすみなさーい!」 鞄も持って、みょうじも支えてって大変だった。自分の家を説明出来ないくらい酔ってるし、仕方なく俺の家に連れてきた。とりあえず、水だけ飲ませて、ベッドに寝かせた。なにを喋ってるのかよくわからないので、適当に返事をしておく。 厄介だ。別に、迷惑ではないが、コイツは可愛いし胸もあるし無防備だし、俺だって男だしな。彼女がいるから、なんてのはこんな状況では忘れてしまう。 んん〜〜、と唸っているみょうじ。 「どうした」 「ろぉ……ロー…」 「ローじゃなくてスマンな」 「ん〜…」 きっと、この二人が両思いだと言うことは知っていた。お互いがお互いを見る目や、ローのみょうじに対する態度や言葉、行動。みょうじが、あんなに安心したように笑うのはアイツの前だけだ。 けど、気付いてないんだろうな、ローも、みょうじも。 「ガキかよ、お前らは…」 頭を撫でると、また、彼の名を小さく呼んだ。 呆れた。けれど、どうにかしてやりたいとは思った。 だから、その、"どうにかしてやりたい"気持ちをどうにかするために、この背徳でしかない欲望を利用することを決めた。 ← top → |