「ごちそうさまでした、美味しかったです。ありがとうございます」 「どういたしまして。」 あれから話は一転し、違う部署の話になったため、もうローの話は無くなった。 そして、お店を出る。 何も言わずに、ふらふら歩く部長に着いていく。終電は?いや、タクシーで帰るのかな。… 「俺か、ローか、」 「選ぶとしたら、どっちがいい?」 何を言っているんだろう、部長は。 どういう意味での"選ぶ"?恋愛として?それとも、仕事仲間として? きっと、恋愛としての選択なんだろう。 けれど、そんなものわたしに、今、聞いてどうするの?それに、答えは分かっているはずなのに。どうしてわたしを困らせるようなことを聞くのだろう。 「いいんですか」 「素直に答えてくれて構わん」 「シャンクス部長です」 やっぱりな、みたいな顔。ニヤリと笑われて、頭を引き寄せられる。彼の唇は、わたしに強く押し付けられ、口内も侵食される。 所謂、路チュー。 飲み屋が連なる一角にて、わたしは、彼のことを本当に好きになってしまう。 「明日の早朝に帰せば、仕事には間に合うだろ?ま、遅刻しても構わんがな」 「はい」 繁華街を抜けたところの、裏道から入る高級ホテル。腰を抱かれたまま、部長に導かれるがまま。 なんて愚かなんだろう。なんて弱いんだろう。どうしてわたしは、こんなにみすぼらしいんだろう。自分が情けなさすぎて、嫌いになってしまいそうだけど、そんな二者択一問題、すでに答えが出ていたはず。即答出来るほどに、すでにシャンクス部長に落ちていたのだ。 ← top → |