部屋に入れば、すぐに水を飲ませようと思ってた。酔ってるこいつは厄介。いつも通り、家まで送ってきたが、なんだか今日は自分がおかしい。


いつもより触れていたい。もっと近くにいたい。認めたくない感情が渦巻く俺の理性は頑張ってるつもりなんだろうが、

ちょっと、

なかなか、キテる。






「ほら、ちゃんと左足も靴脱げって」


「わーまだふらふらする」


「だから支えてやってんだろーが」


「んー」







あの、飲み会の後。






部長が、“こいつは、俺が送る”と言った時、胸がざわついた。ただ、送るだけで終わるはずがない。あの、部長だ。しかし、なぜか引き留めなかった俺。なんでだろうな、きっとなまえはそんなことしないなんて淡い期待を抱いていたのかもしれない。けれど、よくよく考えてみればあの時酔っていたアイツは、理性を取り戻すことなんて不可能に近いように見えたし、どれだけ抵抗しても、男である部長に襲われたりしたら、無力に変わる。



ただの傍観者だった。


他人事のように、なまえのことをなまえじゃないように見ていた気もする。



「ん、……ふっ……んん、」





気付いていないフリ。


いや、自分に言い聞かせていたところもある。


お前が部長に抱かれたってこと、もう確信を持っている。課長に頼まれ事されてた時、倉庫から如何わしい声も聞こえてきた。知ってる。お前が、それほど嫌がってないことも、むしろ喜んでいることも。





「エロい女だな、なまえは。」





その身を求められれば応えるのか?


とんだ、エロい女。しかし、性欲に忠実なのはいいことだ。欲しいものは欲しい、そうだろ?


じゃあ、俺も、


欲しいものは、欲しい。




「い、!……ろ、ぉっ………ヤダ…っ」



荒くなる呼吸と、俺の腕から逃げようとするなまえの抵抗と、それを拒む俺の腕に力が入るのと、すべてが比例していく。






俺は、なまえと、どうなりたい?






部長みたいに、表面上は少し気まずくなりながらも、誰もいない二人になったときには、そういうことをして。

そんな関係?




二人のお互いに対する感情についてはなにも知らない。



けど、俺がなりたいのは、そんな関係じゃない。














「わりぃ。じゃあな、おやすみ」






涙を見てまでも、興奮してられない。



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