それからローは、その話題について口を開くことはなく、空気を読んだわたしはいろいろと話題を変え、そして、終電の時間も近づいてきたので、店を出ることにした。

恋愛の話をしてからは、なんだか、いつもとは違う雰囲気。居心地が悪い。話は進まないし、わたしを罵るローはそこにいなくて、何か考え事をしているような感じでお酒を進めていった。アルコールに強いローは、いつものように酔いが回っている様子もなく、平然と立ち上がり、掛けていたスーツの上着を取り、伝票を手に革靴を履く。




「わわ、っ」

「ん」



差し出してくれた腕を掴む。


お酒に、弱くはないけれど強くもないわたしはと言うと、足がふらつく。ローが支えてくれて大丈夫だったものの、やはり少しキている。


明日は休みだから、ゆっくり寝よう。




「あ、ごめん、出すよ」

「いい」



お会計での、いつものやり取り。いつも、ローが出してくれる。払うって言うのに、絶対に出させてくれない。














「なあ」


「んー?」




お店を出る。わたしが、ふらふらして危ないので肩を抱かれている。





「家、行っていいよな」


「?うん、いいよ?」


きっとこのまま、いつもみたいに家まで送ってくれる、なのに、

どうして今さら聞くんだろう。

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