「最近、忙しそうだけど、誰とメール?」

「い、いそがしくないよ!」




見つめる画面には、新着メール一件の通知。


マルコさんから。



毎日途切れることなく、返信には短くて10分、長くて半日くらい掛かったりしながら、メールのやり取りが続いていた。それが、四日目。


内容はどうってことない、何の変哲もない、会話のような感じで流れているだけ。そしてわたしは、試験の期間に入ったため、バイトに行っていないのである。そのため、マルコさんには会えない。仕方がないことだけれど、なんだか寂しい気持ちになる。



「ついに………好きな人出来たの!?」


「………っちがう!」




「嘘吐くの下手くそ!で、どこのだれ?大学いっしょ?それともバイト先?」

「板書進んでるよ!」

「はぐらかそうとしてもだめー」

「そ、そんなんじゃ、ないから」



授業中だというのに、ねぇねぇ〜と聞いてくるしつこい美矢ちゃん。

まあ、でも、美矢ちゃんは、一向に彼氏どころか好きな人ができないわたしを心配してくれていた。出会いはあったものの、自分から、いいなと思える人がいなかったし、然程彼氏が欲しいなんて思ってもいなかったわたしが、恋愛出来るのかどうか気にかけていてくれて。こんな展開になっていることを伝えたら、美矢ちゃんも喜んでくれるかもしれない。



けど、なんだかこわくて。

わたしのただの片想いだし、すごく年上の人。美矢ちゃんに限ってしないだろうし、それをされたからといってわたしの気持ちが変わることはないだろうけど、もしも、批判、とか否定されたときのショックは計り知れない。




「また、今度、ちゃんというから、今は、待って」

「おっけー、了解!」


言いたくないじゃなくて、なんだか言い出せない。ごめんね、って心のなかで謝りながら、板書を再開した。






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