「………おなまえ…?」




「!?!?!?!!?!!?!??!
?!!?!!!!?!??!??!?
!!?!?!????!?!!!」





間違いなく、背後から幸村の声がした。

振り返ると、ドラ●もんの如く、押し入れに寝そべった幸村が、ひょっこりと顔を出していた。

















深夜番組を見ていたら、もう時計の針は2時を越えていた。その為、明日の朝練を遅刻したら困るので、急いでお風呂に入った。そして、いつものように寝るとき用のブラとパンツだけで部屋に戻ってきて、保湿クリームを塗ったあと、ショーパンをはこうと思ってたところ、背後から聞こえた声。



そして冒頭の会話へ戻り、当然のごとくわたしが大声をあげ、幸村が急いでわたしの口を塞いだのだった。











うちの家は、築ン十年経ってるから、なかなか古いゆえに友達の家のようなクローゼットではなく、押し入れなわけで。そこに、本当にドラ●もんみたいに寝ている幸村がこっちを見ていた。


わたしがちゃんと服を着て、幸村が押し入れから出て、隣同士、座布団に座ったところで話は進まない。




「なんで…」

「しつこいな。分からないって言ってるだろ」

「すみませぬ」

「俺はドラ●もんじゃないのに…」



そこが不満だったらしい。


てか、なんでいんの?ずっといた?いいや、そんなことはない。だって、お風呂に入る前に、幸村がいたとこから下着を出した。それはもう確実に。なんで?なんで幸村いるんだろう。でも、考えても意味ない気がする。幸村ん家は、うちから遠いし、それにもう夜中。今から帰るなんて野暮なことしそうにないし、おもてなししなければならないんですね、ここは。



「最初におもてなししてもらったし、そんなに気にしないで。おなまえって、なかなかおっぱいあるなーって思ってたんだよね」

「えっ」

「はは、ほんとだよ」




なにこの変態モードの幸村。あんまり見れないやつ?しかも、いつもわたしのこと馬鹿にするのに、なにこのちやほや。怖いんだけど。



「みんな、お前のことエロい目で見てるよ」

「えっ、ちょ、何言ってんの?」


隣にいる幸村がわたしをまっすぐ見て、たじろぐわたし。だって、捕まえられたようなもの。何の話なの?なんでこんなことになってるの?なんで、なんで、


「相当無防備だもんな、おなまえ」

「えっ?」


「部活の時も、ブラ透けてることよくあるし、首回り空いた服ん時とか、よく谷間見えてるよ。あとは、風でスカートがめくれるのも、あんまり気付いてないし。どういうつもり?」




「……いや、…えっ」







頬に手を添えられて、至近距離で見つめられる。当然、緊張して体は動かないし、視線は、幸村の綺麗な目から離せない。怖いほどに捕らえられて、それでも何かを期待している自分。このまま、流れに沿って、そういうことになってしまいたい?あの幸村と?







もう、来る、と思った。




思わず、ぎゅっと目をつぶった。












けれど、







スッと手は離れ、近くに感じていた、人の気配が少し距離を開けた。






恐る恐る目を開けると、なんだかわたしを苦しそうな目で見ている幸村。











「少しは抵抗しろよな」



「……っ」






何も、言えなかった。

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