「まーくん、足邪魔」

「俺じゃない」

「はあ?」

「俺の足、なんも当たってないけん」

「…………くあー」





「ブンちゃん…何しとん」

「何してんの、ブンちゃん」

「へ?…ん?お?仁王姉弟じゃん…なんで?てか、なに、なんで俺、仁王ん家にいんの?」



四角いこたつテーブルの反対側に弟が寝ていた。(中略)部活の一つ下の後輩であり、弟と仲良しこよしの、丸井のブンちゃんがいた。…ん?ちょっと意味わからん。


「いつの間に来たん」

「いや、俺ん家のこたつで寝てたんだけど、起きたらここにいた」

「みかん食べる?」

「ん、サンキュー」





テーブルに置いてある籠の中にあるみかんを手渡すと、嬉しそうに受け取ってくれるブンちゃん。眠そうに、きれいな赤髪をがしがしと乱暴に掻く姿をみつめるわたし。ああ、かわいいなぁ、ブンちゃん。



まーくんは、ブンちゃんを少し見た後、元々見ていた深夜番組(ちょっとエッチなのも含む感じの)に目線を戻した。




「なんで仁王ん家にいんだろ、おれ」

「ま、もう夜遅いし泊まってく?」

「お?いいの?」

「うむ。お風呂は入った?」

「うん。あれ?入ってねーの?」




そーうなーのよー、と答えて、こたつを出る。いってらっしゃーい、と背中にふたつの声を掛けられて、重たい腰を上げて、バスルームに向かった。















「"は?仁王いっつもこんな感じかよずりー"、とか思っとるじゃろ?」

「うん。ずりーだろぃ」



水音が聞こえる。その音だけでも、興奮材料にはなるわけで。



「二人暮らしじゃしな。羨ましいか」

「すげー羨ましい」



好きな女と四六時中(ではないけど)同じ時間を共有できるなんて羨ましいことこの上ない。


「明日は台風来るし、学校は休みじゃろ。夜更かししよ」

「おーマジ?やった」

「よし、ブンちゃん。ゲームでもするぜよー」


「オッケー」













「ただいまー」



風呂から帰ってきたその濡れた猫っ毛の茶髪。クソ、破壊力7500。やべぇ




「姉ちゃん、ちゃんと乾かさんと風邪引く」


「分かってるってば」


「あ、いいところにブンちゃんが」


「…は?俺?」





「姉ちゃんの髪、乾かしてやって」


「わーいブンちゃんブンちゃん!」





死亡フラグ立った。

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