骨と星と誰かの小指 | ナノ
「仲達よ」
名前から解放されてもその兄がいるものだから司馬懿が心休まるときなどこの兄妹と関わる限りないに等しい。
「どうなされたのです」
珍しく考え込んでいる曹丕にそう訊ねると、暫くこちらを見つめた後に口元に笑みを浮かべた。果てしなく嫌な予感がする。
「忘れたか、もうすぐ名前の誕生日だ」
「…ああ、そうでしたか」
「忘れていたのか?ならば」
「覚えております、ええ、覚えておりますとも!」
何をされるかわかったものではないと慌ててそう返せば、曹丕はつまらなそうに鼻を鳴らした。まったくあの兄妹は私をなんだと思っているのか。犬か。
「…ふん、まあいい。仲達よ、名前が欲しいものをきいてこい」
「…承知致しました」
またあの女と関わるのかと司馬懿は心中で重く溜め息を吐いた。