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「ちゅーたつー」
「…何だ」
「何でもなーい」


何回目かわからない応酬に司馬懿は眉間の皺を深めた。今にも手に持っている筆が折れそうだ。


「貴様、さっきから黙っていればなんなのだ」
「仲達さあ、働きすぎじゃない?」
「そう思うなら手伝え」
「嫌」


即答してやれば司馬懿は怒りを通り越して呆れたのか、深い深いため息を吐き出した。それを無視して後ろから抱きつくが、司馬懿は筆を止めることはない。


「ちゅうたつ〜」
「……」
「ねえ、ちゅうたつってば〜!」
「………何だ」
「すき〜」


ようやく言えた言葉に嬉しくなってにやにやしていると、何でもないと返ってくると予想していたであろう司馬懿は、するすると動かしていた筆を床に落とした。


「…貴様、からかっているのか」
「えー、違うよ」
「友達として、などと言ったら押し倒すぞ」
「だから、違うってば」


ふん、と鼻を鳴らした司馬懿は名前の腕をゆっくりとした動作で引き剥がすと、ぐいと引き寄せた。突然のことに対応できない名前の身体はすっぽりと司馬懿の膝の上に収まる。まるでお姫様抱っこをされているような状態に、顔に熱が集まる。


「…構って欲しいのならそう言え」
「…うん、ごめんね」


はにかみながら司馬懿の手をぎゅうっと握る。そのままその手を頬に擦り寄せれば、司馬懿が息を飲むのを感じた。


「仲達、すきだよ」


今までの調子ではなく、真剣な表情でそう告げる。身体中の熱が上がっていくのを感じて、恥ずかしいくらいに真っ赤な顔なんだろうなあと自分でも思った。ゆっくりと司馬懿を見上げれば、ああ、なんだ。可笑しくなって笑みがこぼれた。


きみの方が真っ赤だ
130127

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