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「おうおう!なんじゃこの狭苦しい部屋は!」
「え.........?」

ある日突然私の家へとやってきた角を生やした女。それは先日マキマさんが保護した魔人に似ていて名前は確か.....

「そこの人間!ワシの名はパワーじゃ!高貴なるワシを十分にもてなすのじゃ!」

そうだ、パワーだ。聞いた時めちゃくちゃアホそうでマヌケな名前だなって思ったんだった。
まあそれはそうと.....

「あの、マキマさん一体全体どういうことでしょうか」
< 大丈夫、パワーちゃんいい子にできるって言ってたし。別に仲良くする必要はないからしばらく面倒見てあげてね >
「はい.......」

マキマさんに言われたからには否応なしに首を縦に振るしかなくて私は電話をカチャンと置いて溜息を漏らす。
チラリと部屋の中へと招いた魔人、パワーちゃんへ目をやると台所から了承なしにくすねたバナナを呑気にもぐもぐと食べている。

「ねえねえパワーちゃん、これからは許可取って食べようね」
「ハァ?これは最初からワシのじゃが?ヌシはワシのバナナを盗むつもりかこの盗っ人!」
「えぇー.......」

短い受け答えの中で十分に魔人パワーの異常さが浮き彫りになり、想像以上にこの魔人やばいわと幸先の悪さからこれからの行く末に不安を抱く。

「野菜は嫌いじゃ!次出したら壁をヌシの血で塗り替えてくれる!」
「偏食は良くないよパワーちゃん...」

「風呂はたまにしか入らん派じゃ!」
「臭うと社会的に死ぬよパワーちゃん...」

「糞はたまにしか流さん派じゃ!」
「.........流そうよ」

その不安は嫌なくらいに悉く的中して私は頭を抱える。でも暫く一緒なのは確定しちゃってるし......と私は悩み続け、それは次の日に晩御飯の準備をしながらも続く。

「おい人間!メシはまだか!」
「もうちょっと待ってね.....」

とりあえず栄養が偏らないように野菜を食べてもらわなきゃだから...試しに野菜をすりつぶして挽肉と混ぜてハンバーグにしてみようかな。バレたらもうカップ麺でいいや。

「!!」
「...どう?」
「うむ!ワシはこのはんばーぐとやらが気に入ったぞ!」
「そっかそっか!よかったぁ」

どうやら野菜を混ぜたのはバレなかったみたいでパワーちゃんは目を輝かせてパクパクとハンバーグを食べる。なんかそんな反応されたら嬉しくなっちゃうじゃん、と時々パワーちゃんに目をやりながらご飯を食べているとパワーちゃんは早々に食べ終え「お腹いっぱいじゃ!」とお腹を摩る。

「じゃあワシは糞して寝るから片付けは頼んだぞ 」
「うんうんわか......ってちょっと待って、」

昨日の宣言通り風呂をパスして眠りにつこうとしたパワーちゃんに私はガタンと立ち上がる。しかも糞するって言ってたけど絶対流さないじゃん... と、不安要素をこれでもかと残し私の言葉を無視してトイレに入っていったパワーちゃん。そんな彼女が用を足している間に私はダッシュでご飯をかきこむ。そしてパワーちゃんがトイレから出たと同時にトイレに入り、案の定悲惨な状況な便器を流して寝室へと消えそうになる背中に手を伸ばしガシッと肩を掴む。

「なんじゃ人間 」
「パワーちゃん、お風呂入ろう 」
「ハァ?ワシに指図か?ヌシの血で風呂を沸かすぞ?」
「...ハンバーグ、今日が最後でいいんだね 」
「っ....!この卑怯者がぁ! 」

身に覚えのない罵倒をパワーちゃんから受けたその後、一緒に風呂場へと入った私は入るだけで何もしようとしない彼女の髪を洗い、体は抵抗されたのでスポンジでの洗い方を指南した。(ついでに歯の磨き方も)

「あっちょっと!ダメだよ!ドライヤーしたげるからまだ行かないの!」

風呂から上がると適当に水分を拭って寝室へと消えそうになるパワーちゃんを再び連れ戻し、そしてソファに座らせてドライヤーのスイッチを入れる。

「人間は繊細すぎじゃっ!」
「そりゃ人間ですからねぇ」

風呂に入れられ歯磨きまで覚えさせられたせいか大層不機嫌そうにフンッと鼻を鳴らすパワーちゃんに適当に返しながら髪を乾かす。綺麗で指通りの良い金髪はキューティクルもバッチリで、つい見惚れながら乾かしているうちにパワーちゃんは眠ってしまった。それに気付いたのは乾かし終わった後でこくりこくりとソファのクッションを抱きながら舟を漕いでいる。このまま運んであげようとパワーちゃんを抱き上げると細い息が唇から漏れて徐に開いた。

「ニャーコ...ワシが助けてやるからな......」

そう言うと一層クッションを強く抱いたパワーちゃん。口と違い瞳は閉じられたままで「寝言か...」と私は呟くと寝室へと足を進めてパワーちゃんをベッドへと寝かせる。

「ハァ....疲れた 」

パワーちゃんを寝かせて寝室を後にした途端どっと疲れが襲い私は崩れ落ちるようにソファへと横になった。


「おい人間、朝メシの時間じゃ」
「ん...パワーちゃん...おはよ.....」
「いいからメシじゃ。ワシは腹が減ったぞ」
「はいはい.... んーーー」

どうやら私はそのままソファで寝てしまったようでパワーちゃんの声に起き上がって身体を伸ばすと伸びた筋肉がバキバキと痛む。やっぱちゃんとしたとこで寝ないとな、と思いながらソファを降りると、パサリと持ってきた覚えがないブランケットが膝から落ちる。もしかして......

「...これ、パワーちゃんが?」
「夜中に糞しに行ったらヌシが寝てたからのお〜風邪でも引いてメシが出なかったら最悪じゃからワシ特別に施してやったわ! 」
「......流した?」
「じゃからワシはたまにしか流さん派じゃ!」
「ふふっ....そっか、そうだったね」

ついつい笑ってしまった私を理解不能だと言いたげに眉を潜めたパワーちゃんは「そんなのはいいからメシじゃ!」と我先食卓に向かうと椅子に腰を下ろす。そんな姿にまたしても自然に笑みが溢れてしまう。

「食パンのジャムはマーマレードでいいかな」
「いちごじゃ!」


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パワーちゃんと住むのが最初は嫌で仕方なかったけど、段々可愛く見えてきてめちゃくちゃ世話焼いちゃう話が書きたかったけどコレジャナイ感。その後早川家へ出家(?)したパワーちゃんが心配で早川家に押しかけるし、「野菜は嫌いじゃ!ポイッ!」する姿に「パワーちゃんのカレーは野菜が溶け込むまで煮詰めて!」「スープはコーンスープが好物だから最低週2で飲ませてあげて、インスタントは論外よ」「パンは苺ジャムね」「風呂上がりのドライヤーは絶対してあげて」「トイレ?そんなのパワーちゃんが出る都度入って流せばいいじゃない」ってめちゃくちゃ口出してくるし、その姿に色々悟ったアキくんが真顔になる。デンジは夢主の口うるささに文句を言うけど、早川家でパワーを風呂に入れようとする夢主のラッキースケベを目撃してそんなの吹っ飛ぶのでアキくんだけがひたすらしんどい。アキくんがんばえ〜〜〜

文量的に短編でもよかったけど文章が淡白なのでいつか加筆修正してあげたいですね、、、なんなら続き物で 10日後にパワーちゃんのモンペになる夢主 ってやりたい