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題名通りです。6話、初っ端拷問スタートですが、本当はアニメでハンジがエレンを実験してるシーンからスタートさせるつもりでした。でも書いてるうちにこれ夢主やだただ現状を実況してるだけで書く意味なくね...?ってなったのでカットしました。現状♪実況♪不要♪YO♪(は?)
一応ハンジとモブリットと和気藹々としてるオリジナルシーンもちょこっとだけあるし、3000字ほど分量あるので載せときます。因みに私は戦闘シーンの描写を書きたくないので、次回7話は早速クーデター編が終わっています。モブリット...大好きだけどそろそろお別れだね...
以下からスタートです。唐突に終わります。-fine-








「立つんだエレン!人類の明日が君に掛かっているんだ!立ってくれぇぇえ!!」

切り立った崖の上からハンジが懸命に叫ぶ。その崖の下に映るのは地に沈むように崩れ落ちたエレンの姿で、「エレン!まだ動かせそうか?何かしら合図を送ってくれ!」と叫ぶハンジにエレンは何の反応も見せない。その姿を見かね、実験続行不可を悟ったハンジはモブリットと共に立体起動で崖の下へと降りていった。それを一歩下がった場所から眺めながら「...やっぱり難しそうだね」と共に見ていたアルミンに言うと、「だな、道のりは長そうだ。巨人の硬質化の力を使って壁を塞ぐってのは」とリヴァイ兵長が同調しながらこちらを向いた。

「はい。自分でも最初から雲を掴むような話だと」
「作戦自体は悪くない。大量の資材の代わりにエレン一人連れて行けば良いんだからな。雲を雲じゃないものにできるかはエレン次第だ」

そう兵長に言われたアルミンは顔を険しくさせた。その顔は道のりの長さを案じてのものなのか、それともエレンへの期待を固めたものなのかを考えていると「総員直ちに撤収せよ!」と崖の下からハンジが叫んだ。


「うーん...一体何が足りないんだろうね...どうすればエレンは巨人化できるんだろう」
「そればっかりはあんたがいくら考えた所で巨人化できる人間にしか解らないよ」

実験場所兼、新生リヴァイ班の住処となっている山奥の拠点からトロスト区の兵団支部に戻ってきた私とハンジとモブリットは私の部屋で今日の実験の結果について話し合っていた。戻ったのが本部でない理由は、この支部である人物を匿っているからであり、ここ最近の寝食は専らここで行なっている。

「まあそうなんだけどさ」
「ね、モブリット副隊長もそう思われませんか?」
「そうだな....あっ、ちょっリアさん!もうからかわないって言ったじゃないですか!!」
「アハハごめん、モブリットいちいち反応良いんだもん」

エレンの硬質化実験に伴い、新生リヴァイ班に104期生のエレン、ミカサ、アルミン、ジャン、サシャ、コニーとそしてヒストリアが選ばれ、実験の詳細が秘密裏に練られる中、表では隊の再編成が行われた。ミケを中心とした熟練の兵士の大半が戦死してしまい、機動力を失った第一実働分隊は一旦撤廃されることが決まり、所属していた兵士は既存の各隊に振り分けられることになった。

「ハンジ分隊長からも何か言って下さい!」
「ほんとキミの言う通りだよ。リア......モブリットってめちゃくちゃ反応いいよね」
「だよね」
「ハンジ分隊長!なんで悪ノリするんですか...!」

私はハンジの隊である第四分隊に振り分けられ、ハンジ直属の部下になった。第一の時は班長だったけれど、その役職もなくなってつまりモブリットも立派な上官に当たるのだ。だからそれをネタにからかってみる度にモブリットは律儀に期待を裏切らない反応を見せてくれる。

「あっ、そう言えばニック司祭のことはどうなってる?」
「今日はケイジを巡回に当たらせたけど、特にニック司祭にも周辺環境にも異常はなかったと」
「明日は先ず自分が朝の巡回に当たります」

ニック司祭、彼こそがこの兵団支部で匿っているある人物だ。彼は私たちにクリスタ改めヒストリアが、壁の秘密を知り得る人物だと教えてくれた。彼の立場で話せる全てを私たちに告げ、その結果ヒストリアが地方貴族であるレイス家の末裔であることを知ることができた。

「それならいいんだ。...私たちと行動を共にした時点で彼の立場は非常に危ういものになっている。注意を払ってくれ」
「了解」
「了解です」

そのハンジの言葉にモブリットと共にそう頷いたのが昨夜の話だった。次の日、妙な騒がしさに目が覚めて、そっと部屋のドアを開けるとちょうどモブリットとハンジが駆け足で目の前を通り過ぎていった。その只事じゃなさそうな雰囲気に「どうしたの?」と呼び止めると、「ああ#リア#...!大変なんだ!」と冷静さを欠き、緊迫とした面持ちで振り返ったハンジがこう続けた。

「ニック司祭が死んだんだ!」

ハンジのその言葉に、一緒に亡くなった現場であるニックの部屋に向かうとそこには憲兵が居て、強盗殺人だと断定して強引に話を進める憲兵二人は中央第一憲兵、つまり王都の憲兵でこんな壁の最前線にいるはずのない人物たちだった。加えて、現場に一足先に駆け寄り部屋の中を覗いたハンジ曰く、ニック司祭の爪は全て剥がされ、そして何度も殴られた跡があり、更に握手と称して触れた憲兵のジェル・サネスの拳の皮が捲られていたと言う。

「...ニックは中央第一憲兵団に拷問を受け、殺されたんだ」

それらの証拠から導き出された答えは最悪のものだった。それを拠点にいるみんなへと伝えに行くと、一気に緊張が走る。

「憲兵はニック司祭を拷問してどこまで我々に喋ったか聞こうとしたんですか」
「だろうな」
「しかも中央憲兵を動かせるとなると、裏にあるのは相当の何かだ」

アルミンの問いかけにそう答えたのはリヴァイ兵長だった。続けて「で、ニックの爪は何枚剥がされていた?」という問いかけにハンジは「一瞬しか見えなかったけど見えた限りの爪は全部」と答えた。

「喋るやつは一枚で喋るが、喋らねェ奴は何枚剥がしたって同じだ。...ニック司祭、あいつは馬鹿だったとは思うが自分の信じるものを最後まで曲げることは無かったらしい」
「っ......」

兵長の言葉にハンジは悔しさを滲ませながら拳を強く握る。それもその筈、ハンジは中央憲兵であるサネスに強い憤りを覚えていたからだ。勿論ニック司祭を死なせた自責の念もあるだろうけれど、到底理解し得ない正義と大義を振りかざし、ニック司祭に非業の死を迎えさせた憲兵たちに怒っている。現に現場から立ち去る時に「悪党どもは私の友人が受けた以上の苦痛をその身で生きながら体験することになるでしょう。ああ!可哀相にっ!」と一種の宣戦布告をしたほどだ。

「...つまり、俺たちがレイス家を嗅ぎつけたことは明確になってない。ただ、その中央の何者かに目をつけられたのは確かなんだろうな」

兵長がいつも以上に神妙な面持ちで言うと、「リヴァイ兵長」とニファが小屋の中に入ってきて、「エルヴィン団長から伝令です」と四つ折りの紙を渡した。「ニック司祭のことを伝えに行ったのですが、団長がすぐにそれを」と兵長は中身を確認するや否や、「全員撤収だ。ここは捨てる。全ての痕跡を消せ」と立ち上がった。
そして全ての始末が済み、中腹まで皆の避難が済んだところで麓の拠点を見渡すと、ちょうど憲兵が小屋へと到着していた。さっきニファからリヴァイに渡された手紙には中央から下された命令について書かれていて、調査兵団の壁外調査を全面凍結とエレンとヒストリアの引き渡しの要請し、そしてニファに手紙を託して直ぐにエルヴィン団長の元にも憲兵がやってきたようだ。

「そこまでして守りたい壁の秘密って...それに、エレンとヒストリアを手に入れたい理由ってなんだろう。殺すんじゃなくて、手に入れたい理由だ」
「さぁな、兎に角敵はこの二人を狙ってることがハッキリした。こんなところで彷徨いてるのはマズい...」

兵長はそう言うと、エレンとヒストリアをトロスト区に移す提案をした。ニック司祭が殺された場所ではあるけれど、中央に向かうよりはまだ人混みに紛れられ、そしていざという時に立体機動が使える街中の方が安全だと踏んだ兵長の判断だ。

「それに、一方的に狙われるのは不利だ。こっちも敵の顔くらいは確認する...ハンジ、お前の班から何人か借りるぞ」
「もちろん」