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時間軸は高専時代


「いっ...っぅ...」
「どうかしたのかい?」
「あ、冥さん」


ある冬の日の明朝。高専前で現場まで送ってくれる補助監督の車を待っていると今日共に任務をすることとなった冥さんがやってきた。おはようございますと挨拶すると「おはよう」と返してくれた冥さんは続けて「ところでどこか痛むの?」と首を傾げる。

「唇のささくれが邪魔で歯で千切ったんですけど結構痛くって」
「確かに随分と乾燥してるね。血も出ている」
「昨日リップクリーム無くしたせいです。買いに行くのが面倒で放置してたら冬なのもあってか思った以上に乾燥しちゃって...」

とりあえず舐めとけば治るかな〜って思ってるんですけど、と笑うと「舐めると余計に乾燥するらしいよ」と言いながら仕事着のガウチョパンツから何やら取り出した。グロスだろうか、蓋をクルクルと回して開けるとアイボリーに混じってラメが品良く輝く液体をたっぷり掬い徐に自身の唇へと塗っていく。グロスを塗っているだけで絵になっちゃうんだから美人は凄いなぁとその姿を遠慮なく見ていると冥さんと目が合う。


「君にも貸してあげるよ」

そう言いながら冥さんはグロスの蓋を開けた時同様クルクル回して閉じる。その言動の不一致にどういうこと?と疑問を抱くよりも先に言葉にのみ脳が反応したせいで、えっでも血が付いちゃいますよ、と唇が言葉を発する為に動いた......が、言葉は「えっでも」で止まってしまう。冥さんの塗りたてのグロスが艶めく唇がカサカサに乾燥した自分の唇に重なって来たからだ。

「ん...っ...!」

耳から首にかけて手が添えられ下唇を優しく食まれたかと思うと、じゅっと吸われ喉からの声がつい溢れる。驚きで閉じるタイミングを忘れた瞳の先に冥さんの伏せ気味の長い睫毛が見え、視界の先でひとたび瞬くと視線が交わり悠々と細められた。その姿に心臓が大きく跳ね、身体の中で血の巡りが激しくなっていることを初めて理解する。
そんな今にも心臓が口から飛び出そうな私を他所に続けて冥さんの舌がぬるりと唇に触れると皮を噛みちぎった箇所へ先端を押し当て繰り返し撫で付ける。ジワリと痛みが広がったのは最初だけで傷の箇所を執拗に撫でる舌先がむず痒く身体が震える。


「...ちゃんと付いてるね」

最後に唇全体に重ねるだけのキスを落とし、ゆっくりと離れていくと冥さんはうんと頷いた。そして「このグロスには保湿効果もあるからね」と首元へ添えられた手を戻しながら言った冥さんに一言、私は放心状態ながらも訊ねたのだった。



「...いまのはおいくらですか」
「ふふっ、押し売りはしない主義だよ」


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冥さんがリップ(くちびる)を貸してくれる話でした。
冥さん好きすぎてどうにかなりそうだけどどうにか正気を保ちながら日々を過ごしております。声優さんが誰になるのかが気になりすぎてますが個人的には朴●美さん、沢城み●きさん、大●さやかさん辺りかなと思ってます。
後この前計算したんですが冥さん登場回は恐らく18話か19話になると思うので放送休止など無かったら2/12か2/19が命日ならぬ“冥日”です...ふっ.... なんてくだらない洒落を思いつくくらいには元気です。皆さんも大変なご時世ですがお元気にお過ごしくださいね。