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「昔の相棒の話なんだがその相棒も私も互いの相棒を亡くしたばかりだった。だからちょうどいいと、欠けた部分を補えればと組んでみたんだが...彼女とは補おうとしていた部分が全く違ったんだ」

私をシャミアさんの相棒にしてくれませんか。アルコールの回った勢いでそう言った私にシャミアさんは頷くことも無ければ首を横に振ることもなく昔の相棒との話を突如始めたのだった。

「私は隣に、時には後ろに立ち共に戦ってくれる相棒を望んでいた。性別だって年齢だって問わない、ただ一緒に組んで馬が合えば誰でも良かった。でも彼女は違った。私という存在に前の相棒の陰を見ていた。誰でも良かったと口では言いながらずっと欠けた部分を補おうとしていたんだ、私なんかでな」

テーブルの上に肘をつき指を組みながら話すシャミアさんの語り口は騒がしい酒場の空気に呑まれることなく冷静かつ淡々としていた。それは面も同じで悲哀に浸ることも無ければ思い出を慈しむこともない。最後の一見自虐に聞こえる台詞ですら声音も顔色も変えることはなく、良くもそして悪くも素直な彼女の本心から出た台詞に思えた。
私とシャミアさんの間に沈黙が落ちる。けれど変わらず酒場は賑やかな空気が充満していてひっきりなしな声やら音やらで鼓膜が揺れる。そんな空気に後押しされるかのように私は目の前のグラスの中身をグッと一気に喉へと流した。喉と胸辺りがじゅんっと焼けるような感覚を持て余しながらすっかり濡れた唇で私はシャミアさんへと尋ねた。
その彼女とはどうなったんですか、と。

「うん、結論から言うと彼女は亡くなったからそれっきりだ。戦場で攻撃を食らいそうになった私を庇って死んでしまった。庇ってもらわずとも十分避け切れる攻撃だったんだがな。その後すぐに仇を取って彼女に駆け寄ると既に息を引き取っていたがその顔は満足そうで、そこで私はふと彼女から聞いていた前の相棒を亡くした話を思い出したんだ」

相棒を亡くした話...とシャミアさんの言葉を繰り返すように呟くと「同じだったんだ、」とシャミアさんは続けた。

「私を庇って死んだように彼女の前の相棒は彼女を庇って死んだそうだ。それを亡骸を目の当たりにしながら思い出してそこで初めて互いが求めていものの違いを知った。そして過ごした日々の中で交わした言葉や彼女の行動やらを追憶していく中で私という存在に前の相棒を見ていたと理解するに至ったというわけだ」

言い終えると話はこれで終わりだと言うかの如く指を解いて木製のジョッキを口にしたシャミアさん。そんな彼女に対してなるほど、と当たり障りなく返すのが私にとっての精一杯だった。
コンッと中身を飲み干したのかジョッキがテーブルの上に置かれた音は軽い。その音を耳が拾った束の間、顎に音もなく手が添えられそれは紛れもないシャミアさんのものだった。持ち上げるように触れる手つきに驚く間もなく私とシャミアさんの面が向かい合わせになる。

「まあつまりだ、何が言いたかったのかと言うと私は彼女やその相棒のように戦場を共にすることは絶対にしたくない。自分が守りたいと思う存在とはな」

葡萄酒の深い紅に濡れた唇から紡がれた言葉。それは私の求めていた答えの斜め上を突いたもので言葉を理解するよりも先に顔がカッと熱を持つ。

きっと熟した林檎のように真っ赤だろう私を映すシャミアさんの顔は微かに微笑んでいた、ように思う。

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最近どっぷりFE風花雪月にハマり倒した結果シャミアさんに落ちたので勢いで書きました。シャミアさんと話すだけの夢未満な話を目指した筈が欲望が全面に出たせいであんな終わり方になりました、まじシャミアさんに守られたい反面モブになって射抜かれてぇ....(物理的に)
マキマさんを知る前はここまで女キャラにラブゾッコンすることがなかったので始まりは全てマキマさんです、まじで罪深いなマキマさん。