▽精神の台本
Then I lost myself
人間とは、過去を繰り返す生き物だ。
神話の英雄の行いを、幸福を、憎しみを、悲劇を、円を描くようになぞり、御伽噺の筋道に、顛末に、結末に、末路に、律儀に従って歩いていく。
この国もまた同じだ。
国という規模で、個人という単位で、繰り返している。
皆が一様に、似通った没個性的なスクリプトを繰り返していく。
それはまるで台本に従っているかのごとくである。
そして私もまた、そのひとつである。
「勝手に生きろ」
その結果が私ならば。
その結末が台本ならば。
その末路が真実ならば。
眠ってはいけないと呼びかける聲から耳を塞ぎ、私は瞼を閉じるしかない。
(20120713)