木暮くんは可哀相な男の子だ。だからわたしは彼と接するときは、いつもの態度に砂糖をスプーン一杯加えたように優しくしてあげる。春奈ちゃんみたく叱ったりはしない。ふんわりと微笑んで「駄目でしょ、木暮くん」それでおしまい。わたしは木暮くんが好きだ。自分より可哀相な人を見ると、安心感を覚える。わたしは優しくしてあげるわたしが好き。こんな感情、世界中誰でも持ってるものだと思う。あ、キャプテンはどうか知らないけど。
「オレのこと憐れんで楽しい?」
おや、バレていたとは。わたしはにっこり笑みを貼付けて、わたしより幾回り小さな身体をぎゅっと抱きしめる。練習に励んでいたのか、少し汗の匂いがした。
「うん、楽しい」
君に絶望を与えるのも、とっても楽しい。
痛々しい抱擁