「次はいつ来るの?」
「世界を制覇してからかな」
うそつき。ヒロトくんはとてつもないうそつきに決まっている。だって世界一になって有名になったヒロトくんを女の子が放っておくわけがないじゃない。ただでさえ格好良くて雰囲気が柔らかくてミステリアスで魅力的なのに。きっとわたしのことなんか頭の隅に追いやって、もっと可愛くて優しい女の子といちゃこらするんでしょう。わたしは世界を倒したとき、あなたの隣にいられない。
「お土産は何がいい?といっても決勝戦がどこで行われるのかまだ知らないんだけどね」
「お土産なんか要らない」
「俺が買って来たいんだよ。寂しくさせる君のために、何かしてあげたいんだ」
わたしはお土産なんかくれなくても、 ヒロトくんが隣にいてくれればそれだけでいい。世界一になったあとも、ヒロトくんがわたしを覚えていてくれればいい。寂しいのなんか平気。一人ぼっちも慣れてる。それともあなたはそれで片が付くと思っているの。そういうのはお土産じゃなくて手切れ金っていうのよ。
優しい裏切り