───白

少女は昔、蝶だった。鳥だったかもしれないし、魚だった気もする。人間以外なら何でもよかった。それが感情を持っていようと、肉欲にまみれていようと。ただ、人間ではない、ということが重要なのだ。生物の枠で述べるなら、少女はあまりにも完成していた。人間の枠で述べるなら、少女はあまりにも欠落していた。

───黒

少年は全てを諦めていた。容姿、家柄、友人、愛情、あらゆる幸福の条件を満たしながら、何よりも深層にあるはずの自分が見つけられなかった。それは遠く深く、ともすれば初めからなかったのかもしれない。だから少年は捜すのをやめてみる。代わりになるものを思いついたのもまた、自分ではない誰かだった。

白と黒は互いに引き合う。

ここ、池袋で。

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