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目を開けたら、知らない天井が見えた。 「梓、梓…っ よかった…!」 声が聞こえたほうを見ると、友人と部長、そして部員が立っていた。えぇと、なんで?首を傾げると、友人は泣きながら説明してくれた。私は、溺れて病院に運ばれたらしい。 「今日は入院したほうがいい」 「や、大丈夫です元気なので」 帰りたい、と言っても医者は首を縦に振ってくれなくて、病院で夜を越すことになった。あぁ、退屈だ。友人は帰る前に松岡くんにお礼言ってね、と言われた。 「松岡くんが助けてくれた、の?」 ぶわぁ、と顔が熱くなる。だって、あんなにウザいとか近寄るなとか言ってたのに、私を、助けてくれたなんて。友人の話しによると、松岡くんはシャワーを浴びたにも関わらず飛び込んで、私を助けてくれたらしい。なんだ、いい人じゃんか。 「…お礼、なにかしたいなぁ」 また、うぜぇって言われるかな。梓は欠伸をひとつして、目を閉じた。 「復活ー!」 「梓!」 部長に言われて、というか教師に言われて学校にも行けずずっと寮で寝ていた三日間。退屈で仕方なかった。教室にいくと皆が大丈夫か?と心配してくれて心が温かくなる。ありがたい、 「松岡くん」 「……、」 「助けてくれてありがと、すごく、嬉しかったよ」 「…別に」 「私、助けてくれたのが松岡くんで良かったって、思う それでね、お礼といったらアレなんだけど…これ、貰ってくれないかな」 包みを差し出すけど、松岡くんは無視。泣きたいのを我慢して、私はそれを松岡くんの机に置いた。 「口に合うかわからないけど、クッキーと…あと、部活で使ってくれたら、嬉しいなって」 暇すぎて作ったクッキーと、病院の帰りに買ったタオル。使ってくれるとは思わないけど、でも。渡したかった。これは私の自己満足だけど。 放課後の部活。 部長たちも心配してくれて、申し訳ないのとありがたいのと半々の気持ちがわいた。また頑張ります!と笑えば、皆笑ってくれた。 「…お前、馬鹿じゃねぇのか」 「、松岡くん」 「落とされたくせに、よくヘラヘラ笑ってられるな」 「落とされたって言っても事故だよ。それに、私はこの通りピンピンしてるもん」 部長に命じられて、次の大会の登録用紙を記入していたら松岡くんが不意に話し掛けてきた。彼から話し掛けられたのは初めて、すごく、すごく嬉しい。けれど彼は眉を寄せて心底信じられないというように私を見ていた。 「もし俺が助けなかったら、どうするつもりだったんだよ」 「うーん、他の部員がなんとかしてくれたんじゃないかな、」 私の言葉に、松岡くんは舌打ちした。ダン、と机を叩かれて、私は彼を見る。 「お前は、なんなんだよ」 「…なにが?」 「なんで俺に近付く?迷惑だって、何度も言ったよなぁ?」 あぁ相当イライラしてるな。目が怖い、今まで見たことないくらいの目だ。嫌われてるのはわかってた、けど、 心が泣いている 20131018 凛ちゃんの口調ェ… |