そろそろリハーサルが始まる時間、ということで4人で楽屋を出た。
ナギくんはShiyuって背高ーいっ、と可愛い笑みを浮かべて私の腕に手を絡ませる。鳳さんはそんなナギくんにShiyuさんに迷惑だから離れろと眉を寄せ、綺羅くんは黙って私達を見ていた。


「あの、帝さん」
「えっ、やだなーナギって呼んでよ!ボク、Shiyuより年下だもん呼び捨てでいいし敬語もいらないよー?」


こてん、首を傾けて少しの上目遣い。…これをあざといというのか。計算か、計算なのか。なにこのこ怖い。


「じゃあナギくん」
「…くん、はいらないのにー」


むう、と口を尖らせるナギくんの頭を撫でる。自分より少し小さく、そして弟みたいだ。可愛い。


「ナギ」
「っ、うん!
これからはそう呼んでね!」


嬉しそうに笑うナギ。やっぱり、さっきのは夢だったんだ…と、思う。


「すみませんShiyuさん、ナギが馴れ馴れしくて」
「いえ、おかげで緊張が和らぎました」


にこり、笑みを浮かべると鳳さんも笑った。それはよかった、Shiyuさんの歌、楽しみにしていますと言ってくれたので嬉しくなる。












リハーサルが終わり、本番まで残り10分となった。初出演が生放送。また緊張してきた、やばい怖い。HE★VENSは慣れているのか談笑をしている。うらやましい、私も緊張しない心臓が欲しい。



「こんばんは、本日も始まりましたミュージックスタジオ!」
「今日はですね、謎の大型新人のあの方が来ています!」


アナウンサーの声が聞こえる。スタッフさんにHE★VENSさんの次に出ていただきます、と言われてスタンバイする。ナギはちらりと私を見て、とことこと寄ってくる。


「Shiyu、大丈夫だよリハーサルもすごかったし、本番も成功するって!」


ね?と笑うから、ほっとして頷いた。…できる、できる、大丈夫。


オープニングが始まりHE★VENSが出る。次Shiyuさん準備お願いします!とスタッフさんの声に返事をして手が震え出す。私、こんな緊張するタイプだったっけ…!


「だーいじょうぶ、初めては緊張すると思うけどなんとかなるなる!」
「…え?」


振り向くとそこにはニッコリ笑う寿嶺二がいた。彼も今日出演だったから挨拶には行ったけど忙しそうだったので早急に引き上げたのだ。


「デビューしたては緊張するよね、僕も緊張したよ。
でも大丈夫、自分を信じて!」


はい、いってらっしゃい!と背中を押されて歩く。不思議と震えは止まっていた。



ミュージックスタジオ



(自分を信じる、か)



20130628

あれ、HE★VENS連載なのにれいちゃんががが