おとやとはるか



蘭丸と曲の主なイメージを決めて、頭に浮かんだメロディーを弾き五線譜に書き込んだ。
だいたいこんな感じと決まったからあとはアレンジをどうするか、だ。


「さてと、今日はもう寝ようかなぁ、明日も仕事だし」
「…あぁ。
つーかお前、休みもらってんのか?」

「うーん、明日休みのはずだったけど、仕事になったから…あと2週間はオフないかな」


へらり、笑うと蘭丸はうげ、と眉を寄せた。倒れんなよ、と私の頭を叩くと練習室を出ていった。

明日…というか、もう今日か。レン君とモデルの仕事である。概要は聞いてないから、少し不安だ。皆隠すように教えてくれず、嫌な予感がする。


「ま、なんとかなるかぁ」


五線譜を順に並べて角を合わせファイルに入れ、持ってきたものを全部持って練習室を出た。廊下の先には春歌と、音也だ。


ばさぁ、と楽譜らしき紙を撒き散らした春歌はあわあわと慌てながら、音也にすみませんと謝っており、いいよいいよと笑う音也にホッとした表情を浮かべた。


「あ、麗奈さん!」
「やっほー」

「麗奈さんも練習室ですか?」
「そ、曲作り」

「次は誰の作ってるの?」
「蘭丸だよー、話しきてない?事務所の設立記念ライブ、多分ST☆RISHも呼ばれてるでしょ」


あぁアレかぁ、と音也は嬉しそうに笑う。人前で歌えるのが嬉しいんだろうなぁ。春歌も嬉しそうに笑みを浮かべている。


「麗奈ももちろん出るんでしょ?」
「当たり前じゃない、一応、事務所の顔だもの」

「楽しみだなぁ、麗奈の歌!」
「私も、すごく楽しみです…っ」

「ふふ、二人共ありがと」


QUARTET★NIGHTと5人で歌うことを話せば、音也はいいなぁ、俺も一緒に歌いたい。と零したので…あぁ、それならST☆RISHとも歌おうかなぁなんて考えた。けどさすがに多すぎるから…あぁそうだ。


「今度機会があったら歌おう、ね?」
「うん、その時は七海の曲がいいな!」

「っ、一十木くん」
「あ、それいい考えね
そのときはよろしくね、春歌」
「は、はいっ」


顔を赤くして返事をした春歌にくすりと笑う。シャイニーに言ってみよう。春歌の曲で歌ってみたい、と。


「よっし、私は部屋に戻るけど…二人は?話してたんでしょ?」

「いえ、私も部屋に戻ります」
「俺も戻るよ、もう遅いしね」


またね、と音也とわかれて春歌と歩く。春歌は、誰かのことが好きなんだろうな、私の予想だと音也か翔、トキヤなんだけど。


「麗奈さん」
「ん?」

「麗奈さんは、好きな方、いますか?」


強い瞳を向けられる。これは、答えなきゃいけないかなぁ。可愛い後輩の可愛い質問だ。


「…部屋に戻ってから、話そっか」


部屋まではあと少し。
なんて言おうかなぁ、


おとやとはるか



(私にも、まだわからない質問だ)



20130705

7月です。
こっちは全然暑くありません…!

けど体調を崩しましたなんてこった。

レン様のターンを打てる気がしません…。