トキヤを待つ間



子供達は本当に可愛かった。音也と一緒に帰ろうと思ったんだけど、林檎から連絡がきてシャイニーが呼んでるから至急事務所に、と言われて名残惜しくも帰ることになった。
近々、施設でイベントをやるらしく麗奈姉ちゃん来てね!とチラシをもらったので時間が合えば顔をだそうと思う。



「シャイニー、きたよ」
「ミス一条ー、待ってましたー!」

「…で、至急で呼ばれた理由は?」


聞けば、今度レン君とモデルの仕事があるらしい。私とレン君を指名してくれたらしく、その仕事は明日。……明日、オフだったんだけどなぁ。


「オフ返上かぁ」
「あら、なにか予定あったの?」

「久々に実家に顔出そうかなって」


最近、実家に顔をだしてくれないのね、と母親に泣きつかれてしまい、兄も休みだということもあり、トキヤと実家に行こうと思っていたのだ。
午前から行く予定で、きっと晩御飯も実家でだろうと思っていたのだけど、仕事なら仕方ない。


「仕事は午前で終わる予定だぞ」
「あ、ほんと?それなら午後から行けばいっか」

「お兄さんは元気そうよ」


林檎は昨日、兄と仕事をしたらしい。私の様子や周りのことをしつこく聞いてきた、と教えてくれたので兄にはやめてくれと言っておかなきゃなぁ。


「ごめんね林檎、面倒な兄で…」
「いいのよ、楽しく話せたからっ」



…ということで、明日はレン君と二人で仕事。二人でというのは初めてだから緊張するなぁ。大勢で話したことはあっても二人きりなんて今までなかったし。…女の扱いに慣れてそうな彼、ちょっと苦手だったりして。








寮。
時刻は20時過ぎなのできっと帰ってきてるだろうトキヤの部屋に向かう。電話しても出なかったから、お風呂にでも入ってるんだろう。


こんこん、


「はぁーい」
「麗奈でーす」


がちゃり、開いた扉から顔を出したのは嶺二。入っていいよん、と扉を開けてくれたので入らせてもらう。音也はまだ帰ってきていなくて、トキヤもいないようだ。


「僕ちんに用事?」
「今日はトキヤに用事なの
まだ仕事?」

「んーにゃ、いまお風呂行ってるよ。もうすぐ帰ってくると思うから待ってたら?」
「ん、そうさせてもらう」


嶺二とも、あれからまともに話していないから正直気まずい。けれど彼が、普通に話してくれていることに安堵した。


「…この間のこと、なんだけどさ」
「っ、」

「あぁ別に責めようとか、そんなんじゃないから安心して?」


至極優しい声色だった。
ぴたりと固まった身体から、力が抜ける。カップをことり、机に置いて飲んでねと笑うので、小さく頷いてカップに口をつけた。甘すぎない、私の好きな味。



トキヤを待つ間



(…おいしい)



20130622

れいちゃんのターン。
(あれ、多過ぎ?)

最近林檎ちゃんのターンがないので近々林檎ちゃんのターンがきます。