今日は、音楽番組の収録である。
なんとまぁ、今日は嶺二達QUARTET★NIGHTも共演のようで、新曲とアルバムの宣伝を兼ねているから、トークも一緒に行うらしい。
「、はーい」
コンコン、とノックが聞こえて扉が開かれた。入口に立ってるのは嶺二か藍かなーなんて思っていたのだが、なんとそこにいたのはカミュだった。
「カミュ、どうしたの?」
いや、と顔をそらすカミュはらしくない…というかいつもと違う。堂々とした、品のある彼なのに、今はなんだか、
「なにか、あった?」
「…先日の夜、寿と何をしていた」
「、!」
思い当たるのはあの夜だけ。誰もいないと思っていたあの廊下に、まさかカミュがいたとは思わなかった。何を、言えばいいだろう。言い訳をするつもりはない、だって相手が不意にしてきたとはいえ、してしまったことは事実だ。
「…とりあえず、入って
スタッフに見られると面倒だし」
「俺は見られてもいいがな」
「…カミュまで、そうなの?」
頭が痛くなる。なんなんだ。…これがモテ期?モテ期到来は喜ばしいけれど、今は全く嬉しくない。可愛い後輩達の好意、光栄だけど、違うんだよ。なんで?
「なんでわたしなの」
「麗奈」
「わたし、自分じゃ気付かないで色目使ってた?
それでみんな…!」
「麗奈!」
口から出てくる溜まっていた思い。カミュの声にはっとして、ごめんと零す。カミュに、言うべきことじゃない。こんなの、ただの八つ当たり。
「お前が男に色目を使う女なら、好意を示すはずがない」
「じゃあ、」
「少なくとも俺は、お前の人柄に興味を持ったまでだ」
カミュは目を逸らさない。真っ直ぐに、伝えてくれる。年下なのに、そう感じさせない、言葉に、思いが詰まってる。
「ありがと、カミュ」
「…興味があると言っただけだ。俺は寿や黒崎のようにハッキリとした好意はない」
ふん、と鼻で笑ったカミュはやっと顔をそらす。優しいね、カミュは。
「悩むな、お前らしくもない」
「…ん、」
「お前らしく毅然としていろ」
「がんばる、」
こつり、靴を鳴らして私の前に立ったカミュは、私を見下ろして頭に手を乗せた。ふ、と一瞬だけど優しく笑ったカミュに、少しだけ安心した。
「っ、ふ…、」
「…泣くな。本番までまだ時間があると言っても、腫れるぞ」
「ごめ、とまんない」
ぼろぼろと止まらない涙。いつもなら止めようと思えば直ぐに止まるのに、今日は何故か止まる気配がない。こんなふうに泣いたのなんていつぶりだろうってくらい。
「…来い」
「ふ、…か、みゅ?」
来い、と言ったカミュは少しだけ腕を広げていた。駄目だとわかっているけれど、今は一人なんて無理だ。つらい、
「ひ、うぁ…っ」
「…泣きすぎるなよ。仕事に影響がでるぞ」
「わか、ってる…っ」
とん、とん、と背中を叩かれる。馬鹿、ばか、ばか。いつもみたいにきつく言ってくれれば、突き放してくれれば、こんなに涙でないのに。こんなときに限って、カミュは優しいんだ。
涙を止める方法
(その前に、リハーサル)
20130612
ミュー様のターン!
あれ、ミュー様なんか結構かなり違う気がしてならないのですが…。
や、優しいよねミュー様!だって言われたからとはいえちゃんとセシル見てるしね、先輩してるしね…!