「麗奈ちゃーん!」
「ひゃ、れ、嶺二!?」
突然後ろから抱き着かれて声を上げる。嶺二の行動は最近特に心臓に悪いから今も心臓が痛いバクバクである。
「どうしたの?」
「ん?麗奈ちゃん見つけたから走ってきただけだよんっ」
「よ、用事があったとかじゃ」
「ないねぇ」
そう、と言って溜息をついた。びっくりしすぎて本当に心臓が痛い。
というか、今もまだ抱きしめられたままで、後ろからぎゅう、とされている。少し体が離れたと思えば、嶺二は私の首元にちゅっと音を立ててキスをした。ぴく、と震えてしまった自分が恨めしい。
「なにしてんだ嶺二」
「…あ、ランランじゃーん」
「そいつから離れろ」
「やーだねっ」
ぎゅうぎゅうと嶺二は見せ付けるように私をさらにきつく抱きしめる。目の前にいる蘭丸は明らかに不機嫌で、私は嶺二に離れてと頼んだものの、ちょっとだけ我慢しててと言われてしまい仕方なく真っ赤いる、という感じだ。
「麗奈」
「ら、蘭丸…」
「…そいつ振り払って、こっち来い」
す、と細められた目に射ぬかれる。どくん、と大きくなった心臓は蘭丸を見ていると五月蝿い。最近は、こんなことがしょっちゅうだ。
「嶺二、」
「ん?」
「は、はなして?」
するりと解かれた手。嶺二はにっこり笑って、ランランとお仕事しといでと頭を撫でてきた。今日はこれから、蘭丸と仕事だから、そうさせてもらう。耳元で小さく「あとで電話してね」と言われたので頷き、いまだイライラした様子の蘭丸のもとに駆け寄った。
「よーし!蘭丸、今日はこの間の曲うたってもらうからね!」
「…あぁ、仕方ねぇから歌ってやるよ」
「ふふ、楽しみだなぁ」
れいじらんまる
20130520