ベッドシーンと出会いのシーンを撮り終えて、本日の収録は終わった。次の収録は2ヶ月後くらいなので、役を忘れないようにしなきゃいけないなぁ、とぼんやり思った。
行き同様、事務所の車で寮に向かったのだけれど、車内は無言。静かすぎて、誰も喋らなかった。この無言が、気まずい。
「皆、少しは勉強になった?」
「え、あ、や、は…はい」
吃る音也、翔くんと春歌、真斗くんは私を見ようともしない。相当刺激が強かったようだ。けれどあれは擽り合いだったから、撮影中は恥ずかしくなかった。むしろくすぐったくて泣きたかったくらいだ。まぁ、騙されてくれたのならそのままでもいいだろう。
(育ち盛りの青少年にそういった現場を見せるのは法律でアレなのだけど、擽り合いである。連想してしまったかもしれないから教育に悪いし、罰せられるかもしれないけど。シャイニーが手を回しているんだろう。逆らえないから私は何も言えない、怖いし)
「レンくんと那月くん、真斗くんは見れると思うから、放送したら見てやってね」
「もちろん、レディの色っぽい顔を目に焼き付けるよ」
「はは、ありがと」
レンくんは相変わらずである。那月くんははい、とへにゃりと笑って、真斗くんは顔を真っ赤にして「破廉恥だ…!」と車内で叫んだ。…うるさい。
「皆がみんな、今日みたいな現場になるはずはないけど、現場の雰囲気と共演者、監督、他のスタッフさんには挨拶はしっかりと、礼儀正しくね。
今日、エキストラで皆出てもらったとき、監督とかが皆の姿勢を褒めてたから、多分、これからドラマ仕事は入ってくると思うよ」
頑張ってね、と笑うと、やっと翔くんたちは私を見て「ありがとうございます」と笑った。
寮に着いてから、音也がQUARTETの4人に今日の撮影のこと言ったなんて、私は知る由もなく、疲れ果てて眠りについたのだった。
帰宅途中、車内
20130502
20130503公開