心配したんだよ




林檎は、以前買い取った服を着るからと更衣室に行くというのでそこで別れた。髪の色は長いときに比べて少しトーンが落ちていて、目を伏せたときにどきりとした。この姿を、久しぶりに見たからだ。







もう夜遅い時間で疲れているはずなのに、事務所の前でQUARTETの皆が待っていてくれて、私の服を見た蘭丸はぼそり「似合わねぇ」と呟いた。



「ごめんね、待たせて」
「それはいいけど、詳しく聞かせてもらうからね!」

「ボクらを納得させられる言葉じゃないと許さないよ」


嶺二に次いで藍が口を開いた。とりあえず、新曲の話、シャイニーが言った言葉、行動を告げると嶺二は不満げに、蘭丸と藍は少し驚き、カミュはほぅ、と声を漏らした。


「もしかして、露出するの?」
「さっき服破られたことを考えると、そうかもしれない」


えええ!麗奈ちゃんは清楚なのがウリなのに、と嶺二は唇を尖らせてぶうたれている。そんな嶺二に苦笑した。露出は正直控えたいものだ。アイドルをしていると写真集とか雑誌の企画とかで水着を着ることがあるから、本来なら慣れてはいるけれど、シャイニーの意向で、私は今まで肌の露出はしてなかった。多分、こういう企画をしようと当時から思っていたのかもしれない。とんだ策略家だ。



「…服破られて、見られたんだろ」
「え」
「あぁ、そういえば聞いてなかったね。…麗奈、君の下着を見たのは誰?」

「…いわなきゃ駄目?」
「当たり前でしょ」


即答した藍にう、と言葉を詰まらせたが仕方なく口を開いた。


「シャイニーと、林檎と、龍也」
「龍也さんも見たの?!」


多分、と言うと皆ぶつぶつと私に聞こえないくらいの声で呟いた。…怖い。


「まぁ、とりあえずは納得したけど…あまり隙をみせないことだね」
「う…わかってるもん」

「社長のやることは予測できねぇが他のことはなんとなくでもわかるだろ。…気をつけろよ」
「あんまり心配させないでよね」

「…ごめん」


すると、今まで黙っていたカミュが私に近付き顎を捕まれて上を向かされた。きつく睨みつけられて、少し怯む。


「この俺が貴様如きを心配してやったんだ。謝罪の言葉が聞きたいんじゃない」
「そうそ、謝ってほしいわけじゃないよん?」

「…ありがと嶺二、蘭丸、藍、カミュ」


私は、後輩に恵まれているようだ。



心配したんだよ



(嬉しいけど)
(カミュの態度は)
(指導しなきゃいけないなぁ)



20130427

わわわ動かない…!
お休みなさい(-ω-)zzZ