目的地は秘密。




「さ、春歌。荷物取りに行ってST☆RISH連行するよ」
「れ、連行ですか…?!」


冗談だよ、と笑うとホッと息をついた春歌は素直すぎる。あぁ可愛い抱きしめたい。部屋に戻って荷物を持ち、車のカギを渡す。きょとんとした春歌に先に車に乗ってて、と伝えると頷いた。


部屋に呼びに行こうかとも考えたが、ここは広いから放送でもして呼べばいいかと思いつき、マイクの電源を入れて「あー、」と声を出す。うん、聞こえるだろう。


「ST☆RISHの皆さん、着替え、タオル、下着、ノート、筆記用具を持って今から5分以内に入口に集合

繰り返します、着替え、タオル、下着、ノート、筆記用具を持って5分以内に入口に集合。

遅れたらペナルティね」


ブツ、とマイクを切って私も車に向かう。先に車に乗っているはずの春歌は、どこに乗ればいいかわからないからと入口で待っていた。


「助手席に乗ってて」
「いいんでしょうか、私が助手席で」
「逆に春歌以外が助手席に乗ったら、後ろで男に囲まれて困らない?」


考えてなかった…と顔を赤らめた春歌は助手席に乗りますぅうう!とパタパタと走っていった。

さて、急いでくるだろう彼らに飲み物でも買っておいてあげようか。
















5分後、全員が息を切らして入口に集まっていた。


「偉い偉い、皆ちゃんと来たね。忘れ物はない?」

「麗奈、突然どうしたんです」
「それは後。とりあえず皆、はいコレ」


ミネラルウォーターを渡すと一人一人ありがとう、と受け取り一気に飲み干していた。…やっぱり5分は短すぎたかな。


「はい、皆車に乗って」
「え?」

「春歌が先に乗って待ってるんだから、早く」


春歌、という名前に反応した6人は素直に車に乗り込んだ。が、しかし。翔くん以外の5人は体も大きいため荷物もありで少し狭そうだった。ごめん、ほんとごめん。


「春歌シートベルトした?」
「はい、大丈夫です」

「よーし、じゃあ行くよー」


アクセルを踏んで車が発進し、この間嶺二に貰ったQUARTETのアルバムを車内で流しながら目的地へと走らせた。


「レディ、昨日はあんなにご立腹だったのに今日はどうしたんだい?」
「それは音也くんと翔くんに聞いてくれるかな?」


えーと、と音也くんが説明してくれて皆とりあえず納得したようだった。
次いでトキヤが「何故突然?」と聞いてきたので皆気になっているだろうと口を開いた。


「私、君たちのことなんにも知らないし昨日は親睦も何もなくなっちゃったから

皆でどっか行って少しでも知れたらな、と思って」


大丈夫、シャイニーには許可もらって今日、明日、明後日は皆休みだからと言えば7人はぽかんと口を開けていた。


「あ、夜にはQUARTETも合流するよ」
「れいちゃんたちも?」
「あの3人も仕事休みにしてもらったから安心してね」


春歌は皆さんとお出かけできるなんて嬉しいです、とお花を飛ばしていて、それを見た一番後ろに座っていた那月くんが「ハルちゃぁあああん!」と暴走しそうになり、それを翔くんが止めて、音也くんは「七海と…」とどこかに飛び立ち、真斗くんはそんな音也くんをこちらに引き戻し、レンくんは「オレのことが知りたいなら個人的に教えるよ?」とミラー越しにウインクを飛ばし、トキヤは盛大な溜息をついていた。なにこの車若干カオス。


目的地は秘密。



(温泉楽しみー)(温泉に行くんですか?)
(あ、声に出てた?)



20130423

アニメ2話が遠退く…!
私は何をしてるんだ…くそ!
ほんとはセシルも連れて行きたかったけど彼は水嫌いだし自家用車だと乗れないから…あれ、自家用車も7人までだっけ。
あれ、あれ?(←)

そ、そこはご愛嬌といいますか…はい、目を瞑ってやってください(←)

人気アイドルなのに仕事休めるのか、というのは、マスターコース担当になったので仕事をセーブすることになったから、ということで…!

旅費はヒロインのポケットマネー、と言いたいところですが、気前のいい林檎ちゃんと龍也さん、ヒロインが出したということで…!