朝のランニング



基本的に私は、仕事とプライベートを分ける人間だ。

ST☆RISHと七海春歌のマスターコースの責任者ではあるが基本的に私は春歌のみを見るつもりでいる。嶺二達がいるんだから彼らに頼むほうがいいし、同性のほうが接しやすいだろう。


「おはよ、春歌」
「おはようございます、麗奈さん」

「少し、目腫れちゃってるね」


大丈夫です、と笑った春歌の頭を撫でると、彼女は嬉しそうに目を細めた。


「まだ8時だし外走ってこようかな」
「準備は、何時からしますか?」

「そうだなぁ、10時くらいから始めようか。あ、持ち物は、着替えとタオルと下着、あとは五線譜に筆記用具ね」


着替え、タオル?と首を傾けた春歌に行けばわかるよと告げると素直にはい、と頷いた。

日焼け止めのクリームを塗ってからジャージに着替え、ウォークマンをポケットにいれて首にタオルを巻いて髪を結ぶ。いってくるね、と部屋を出て寮の入口に向かうと、翔くんと音也くんがジャージ姿で、いままさにランニングに行くようだった。


「おはよ、翔くん、音也くん」

「うぁ、お、おはよう、ございます」
「今からランニング?」
「は、はい」
「ちゃんと朝ごはん食べた?」

「トキヤが準備してくれて、」
「そっか、トキヤ料理上手いしカロリー計算もしっかりしてるから、安心だね」


にっこりと笑うと、彼らは驚いた顔を見せる。昨日は仕事モードになってしまったからきつくしたが、今日の私はオフであり、プライベートである。仕事のことは関係ないのだ。


「昨日のことと今は違うよ。今日私はオフだから仕事一切関係ないし。
怒ってないから安心して?」

「あの、」
「なに?」

「…次は、絶対に麗奈さんに笑顔になってもらえるようなもの、見せるから

だから、そのときは見てください」
「…ん、いいよ。
今の言葉忘れないから、ガッカリさせないでよー?」

「「はい!」」


一緒に行きませんか、と言われたので「いこっか」と言うと、二人は嬉しそうに返事をした。


「麗奈さんって、芸能一家、だったんですね!」
「そうだよー、嶺二に、聞いた?」


私は五人家族、三人兄弟の末っ子で両親は役者、姉も役者で、兄はアイドルだ。そして兄は龍也と同い年だから仲が良い。


「それって、一条昴さん、ですか?!」
「そうだよ、」
「俺、昴さんのファンです!」


興奮した様子で足を止めた翔くん。確か翔くんは龍也のファンでもあったはずだ。タイプは全く違う二人だけど仲が良いことで有名で、ドラマなんかで共演することが多い気がする。


「ありがと、兄に言っとくよ」
「ありがとうございます!」


すげぇ!とはしゃぐ翔くんに声を上げて笑うと、翔くんは疑問符を浮かべた。


「昴って、女の子のファン多いから、翔くんみたいに男の子のファンには特に優しいよ」
「!」
「下2人が私と私の姉だから、弟欲しくて仕方ないって言ってたし」


そこも龍也と違うところだ。龍也は男の子ファンがかなり多い、兄は女の子のファンがかなり多い。


「よーし、ここ一周したら帰るよ!」
「はい!」





「二人は今日、これから予定は?」
「今日は休みなので部屋で筋トレします」
「俺はギター弾いたり、です」

「了解。
ちゃんとシャワー浴びてストレッチしなよー?」


はーい!と二人は部屋に戻っていったので、私も部屋に向かった。時刻は9時過ぎ。シャワー浴びて着替えたら調度いい時間だろう。



「ただいま春歌」
「おかえりなさいっ」



部屋に帰ったとき、誰かのおかえりなさいという声を聞けるのは嬉しい。長いこと一人暮らしだから、少しだけ寂しいと思ったこともあったから。


「シャワー浴びてくるね
そのあとすぐ食堂行って準備しようか」
「わかりました」



髪を洗うのには時間かけるけど、今日は少し時間がないから早めにあがって荷物の準備をしよう。



朝のランニング



(ちゃんと皆部屋にいればいいけど…)



20130423


翔ちゃんおとやんの二人。
他の人にしようかとも思ったけどこの二人にしました。


そして新キャラ登場。
ヒロインの兄で一条家の長男、一条昴くんです。

他の事務所のアイドルグループのリーダーをしております。
龍也と仲が良くて休みが合えば二人で飲みに行くこともあり、互いの家に泊まりにいったりもする。
かなりのシスコンですヒロインが恋人を作ろうものなら潰しにかかる人。普段は大人しいというか大人なので物腰柔らかく、ウインク一つで女の子のハートを奪う人です(←)

ヒロインちゃんにはお姉さんもいますがそれは追い追い。