クッキングなう


食堂のキッチンに行くと、ちょうどシャイニーに頼まれたという業者さんが食材をわんさか運んでいて、嶺二は既に来ていたらしく運ばれてくる食材にひく、と口許を引き攣らせた。隣にいる春歌はすごいです!となんだか楽しそうだ。


「お、きたきたー」
「ごめんね嶺二、待った?」

「だーいじょうぶ、問題なっしんぐ!」


後輩ちゃんよろしくマッチョッチョ!とアイドルスマイルを浮かべ、春歌は目を輝かせていた。


運び込まれた桁違いの量の食材をどう料理していこうか、そして余った食材の分け方等考えていたら、鶏モモ肉を見つけたらしい嶺二がにっこりと笑った。その笑顔の意味がわかった私は、嶺二にそのお肉をお願いし、春歌と二人で野菜を選ぶ。


「春歌は何が食べたい?」
「え?えぇと…パスタ、グラタン、ハンバーグ…あ、スープもほしいですっ」


次々出てくる名前に笑うと、恥ずかしそうに頬を押さえた春歌。わぁ可愛いそれ仕事で使いたいいただきます、…なんて。


「じゃあハンバーグつくろっか」
「はいっ」


春歌がハンバーグは私が!と申し出てくれたのでお願いをして、私はまずスープを作ろうと野菜やらその他を物色していた。
確かトキヤは食事にめちゃくちゃ気をつかっていたから、スープには野菜を大量にいれよう。健康にもいいから、皆食べたほうがいい。蘭丸は肉としか言わないし。


「麗奈ちゃーん、鶏肉に味染み込ませてるから僕ヒマになっちゃったんだけど、」
「ん、じゃあ嶺二はグラタン作ってくれる?」

「りょうかーいっ」


シャイニーからの食材を各々かなりの量を使ったにも関わらず、まだまだ底が見えないくらいある。育ち盛りの、そして寮で初めての夜だ、緊張と疲れでお腹も空いているだろう。これから林檎と龍也、それにST☆RISHの同期で春歌の親友という子も来ることだしもう少し品を増やそうかなぁ。
今のところ洋食ばかりだから、煮物を作ってみてもいいかもしれない。まだ晩御飯まで時間はあるし、少し味を染み込ませるには時間が足りないかもしれないけれど、ここは圧力鍋さんに力を借りればそれなりに染み込むだろう。


「嶺二手羽肉ちょうだい」
「はいはーい」

「春歌大根切ってー」
「はいっ」


本から学んだ味付けに一工夫して食材を鍋に入れ、火にかける。あとは出来上がりを待とう。お米を炊くの忘れてたから、お米も炊いて。


それなりに料理が完成して、一息ついていると嶺二が近付いてきて楽しそうに笑った。


「麗奈ちゃん」
「嶺二、ありがとね」

「後輩ちゃんと麗奈がほとんど作ったじゃん、僕は何もしてないよ?」
「そんなことない、嶺二のおかげで捗ったもん」


そう?とおちゃらけて笑った嶺二は、にやりと笑って、私を頭からつま先までじっくりと見る。


「そういえばパジャマなんだね、二人共っ」
「うん、食べたら寝るだけだしね」

「麗奈、そのパーカー脱がないでね。男に肌を見せちゃダーメ」


ね?と首を傾けた嶺二に、龍也の言葉も思い出して首を縦に振った。龍也が怒ったら怖い。説教長いし、いやだ。


「まぁ僕としては、麗奈の肌見たいし触りたいんだけどね?」
「なっ…!」

「なーんて、冗談だよ」


へら、と笑って嶺二はじっくりとつけてあったモモ肉を揚げはじめた。危ないから二人共近付かないでね!と念を押されたので、春歌と二人少し遠くから唐揚げが揚がるのを待った。


「ね、春歌。つまみ食いしちゃおうね、唐揚げ」
「…いいんでしょうか?」

「いいのいいの、だって頑張ったんだもん」
「はいっ」



クッキングなう



(麗奈ちゃーん後輩ちゃーん)
(れいちゃん特製唐揚げ、味見する?)
(する!)
(しますっ!)



20130420

れいちゃんといい感じになるのを止めて。他のQUARTET組全然出番ないよまじこれはやばい