首筋の痛みと。


お疲れ様、と改めて顔を見つめられて私は、顔に熱が集まるのを感じた。シャイニーに勝った…というか恋愛禁止が解除された私は、きっと今までよりもときめいたりするのだろう。だってうちの事務所に所属してる人たちは、それもうイケメンだらけなのだから。


「れ、嶺二…」
「どうしたの?」
「ち、近い…!」
「あれ…もしかして照れてる?」


五月蠅い、と顔をそむけるとくすりと嶺二は笑いなんだか新鮮だ、といった。え?と不思議に思いながらそろそろと嶺二を見ると、その眼はとても優しくて。どきり、今までは気付かないふりをしていた胸が、高鳴った。


「今まで、どんなことをしてもそこまで反応してくれたことなかったから…なんか、嬉しいなぁ」
「そ、そう?自分じゃわかんな…」

「いま、僕にときめいてるデショ?」
「なっ、」
「顔、真っ赤だし…耳も…」
「ひゃ…っ」


頬に触れられて、そのまま耳に触れられる。触れるか触れないか、そんなもどかしさ。目を細めて、嶺二は私の耳元に顔を寄せた。ふ、と息を吹きかけられて思わず声が漏れる。だめ、だめだ。


「好きだよ麗奈。僕は絶対、君を振り向かせる」
「っ、みみ…やっ、」
「かーわいいなぁ…このまま、食べちゃいたい」


このまま、から嶺二の声がぐんと低くなる。艶のある声ですらグラグラと頭がおかしくなりそうで、心臓も壊れてしまうんじゃないかってくらいにうるさいのに。


「…と、まぁ今日はこれくらいにしてあげる。他の皆もこれからはもっとすごくなりそうだから…」
「え、…っ、いた…」


耳の少し下、首筋に痛みが走る。思わず目を閉じると嶺二は私の頭を撫でた。撫でられるのは、これで何度目だろうか。


「覚悟してね」
「え…」
「僕は誰にも負けるつもりないから」
「れい、じ」

「龍也先輩にも、林檎先輩にも。誰にも渡すつもりはないよ」


そういった嶺二の顔はいつになく真剣で。私はまだうるさい胸をおさえた。鳴りやめ、鳴りやめ、と。

きっと私は、今までどこかで誰かにときめくということに制御がかかっていたのだと思う。ほんの少しはときめいたり、なんてことも今まであったけれど、向き合うと決めた今、私にはなんの制限もなくて。きっと、だからこんなに胸が高鳴るのだろう。

これから、他の皆も嶺二みたいになるのかな、と思ったら先が思いやられるというか、気が重いのだけれど。いただいた好意に、向き合うと決めたから。感謝と、誠意をもって、彼らのことを、たくさん知っていきたい。後輩の彼ら、ではなく。一個人を、知っていきたいんだ、


首筋の痛みと


(火照る顔)


20140124
20140210掲載

ご無沙汰しております。更新をまったくできず申し訳ありませんでした。また、少しずつですが更新してまいります。
久々なので文字の打ち方を忘れており、今まで以上に読みにくいと思います…申し訳ありません。