今日Bクラスが授業してるから顔出して行きなサーイ!とテンションが高くなったシャイニーに、いつも通りに戻ったとほっとした。
「わかった、龍也に案内頼んでいい?」
「モチのローン!リュウヤさんにはもう伝えてありマース!」
「はぁい
…早乙女さん、本当にありがとう。ほんとにほんとに、大好きだよ」
ぽん、と頭を叩かれて私は笑った。
さて、Sクラスに行って龍也に報告して、Bクラスに行きますか。
こんこん、とSクラスのドアをノックして扉を開ける。教壇に立つ龍也と生徒の視線が集中し、ざわついた。
「龍也、」
「…どうだったんだ?」
「勝ったよ、当たり前じゃない」
そうか、と笑って龍也は私に近付いた。頭を撫でられて、よくやったなって、褒めてくれて。嬉しくなって、抱き着いた。
「覚悟しとけよ?」
「ま、頑張ってよね」
なんて強気になって言うと龍也はまた笑った。そしてはっとする。ここは教室である。生徒に見られているのである。ゆっくりと離れて、クラスを見渡す。顔が赤くなってる子ばかりだ。
「邪魔してごめんね」
「いや、気にするな。
そういやお前、オッサンから聞いたか?」
「うん、明日からBクラスの臨時担任の話でしょ?」
言うと、クラスが揺れる。いいなぁ、という声からすごいという声が聞こえた。
「シャイニーに龍也にBクラス連れてってもらうことの許可もらったから…
申し訳ないけど、ちょっと日向先生お借りしてもいいかな?」
生徒に向かっていうと、クラス中から勿論です!と即答する声があがる。龍也は苦笑して、しばらく自習してろよ。と教室を出た。
「それにしても、まさかオッサンに勝つとはな」
「負けると思った?」
「お前、オッサンに逆らったことなかっただろ」
だから、驚いた。と言われて確かに今まで逆らったことはないと思った。だって、早乙女さんのおかげで特例で入学できて、デビューもできたんだから。頭が上がらないのだ。
「娘は反抗期むかえたの、やっとね」
「なんだそれ」
「内緒!」
俺も遠慮しないからな、と言われて臨むところ、と返し笑いあう。そしてちょうどBクラスに到着した。
「明日から一ヶ月、臨時でお前達の担任になる一条麗奈だ」
「はじめまして、一条麗奈です。短い期間だけど、一ヶ月よろしくね」
拍手と喝采。やったー!とかよっしゃー!とか、サインください!とか、そんな声はSクラスまで届き、龍也がいない教室では羨ましい、なんて声が上がっていたことを龍也は知らない。
報告とご挨拶。
20131027
龍也さんに抱き着かせたいがために打った回