父親との約束。



父は俳優だった。
だった、というのはもう過去のことだからだ。父は私が早乙女学園に入学した年に他界した。

悲しくて悲しくて、どうしようもなかった。私の曲を、歌を、好きだと笑ってくれていた大好きな父と、もう会えないのだ。辛いに決まってる。

そんなとき、母が早乙女さんと食事することになって、私達兄弟も一緒に食べることになったんだ。早乙女さんは、私の両親とすごく仲が良いから。父と早乙女さんは、親友だった。


「お前の父親が最期に、麗奈の恋人になる男はお前が麗奈を任せられると思った男だけだと言った。
お前が、麗奈の父親代わりになってくれ、とな」

「シャイニー、」
「大事な娘の選ぶ男は素直に認めてやりたいが…お前を任せられる器の男じゃない限り、認めないぞ」


シャイニーは、早乙女さんは笑った。いつものような笑みじゃなく、パパみたいな顔で。


「お前は弱い。俺の言うことは絶対だ。だが、自分の気持ちを押し殺してばかりのお前が自分の意思で俺に向かってくるのを、楽しみにしていた」

「…シャイニー」
「仕事を疎かにしたら、すぐにクビだ」


私の頭を撫でる大きな手。まるでパパみたいに暖かくて、優しくて。あぁ私は、たくさんの人に支えられて、守られているんだな。こんなにも私を思ってくれているなんて。


「ありがとう、ありがとうシャイニー。生意気言ってごめんなさい。
私、仕事も恋愛も、どっちも頑張る。だから、報告待ってて」

「……では早速、ミス一条にはこの学園で臨時教師をしてもらいマース!」
「?!」


突然声色が変わったシャイニーに驚いた。本当、切り替えが早い。今回の、恋愛禁止については解決したから、私は皆とちゃんと向き合っていく。もう、逃げない。

ていうか、臨時教師ってどういうことなの。ねぇ、待ってどういうこと。なんでシャイニーはニヤニヤしてるの、ねぇ。


「テレビの仕事をセーブしてるのは体調が完全に回復するまで…それまで約一ヶ月間、Bクラスの担任をしてもらいマース!」
「ちょ、待ってよ本来の担任は?!」

「彼は俳優の仕事で一ヶ月海外に行くことになりマシター…その間ミス一条にはBクラスを受け持ってもらいマース!」
「………はぁ、わかったわよ」

「詳しいことはリュウヤさんに聞いてくだサーイ!会議があるのでババイのバーイ!」
「え、ちょっとシャイニー!」


次から次へと、問題が発生するのはどうしてなの。


父親との約束。


(龍也さがそう…)


20131022
シャイニーの口調と一人称ください。
駄目だ迷子すぎる。