逃げているだけじゃないですか。
春歌の言葉に何も言えない。その通りだと自分でもわかってるんだ。
「私は、シャイニー…早乙女さんに逆らえない」
「でも、」
「まだ、誰が好きってわけじゃないから、まだ大丈夫」
「じゃあ、皆さんの気持ちはどうなるんですか?麗奈さんが好きで、思いを伝えた皆さんに酷いと思わないんですか?」
「私が誰かと付き合えば、誰かが事務所を辞めさせられる…それをわかってて、春歌は付き合える?」
「それは…」
「私は無理。彼らの夢を、めちゃくちゃにするなんて、できないの」
弱くてごめんね、と春歌に言えば、「いまの麗奈さんは、私の憧れる麗奈さんじゃないです、」と部屋を飛び出して行った。
はぁ、と溜息をついてベッドにダイブ。結構、ショックを受けていたりするんだ。だって、春歌のこと可愛いし、妹のように思っていたんだもん。
「これで、いいんだよね…」
「いいわけないでしょ」
がちゃり、扉が開いて顔を見せたのは嶺二だ。隣にはカミュ、そして蘭丸。眉を寄せて機嫌が悪そうだ。…聞かれていたのか。
「さっきのどういうこと?」
「…さっきって?」
「ごまかすな、全部聞いてたんだよ」
「じゃあ、言う必要ないじゃない」
少し、キツイ言い方になってしまう。お前、と声を荒げた蘭丸を嶺二が止める。溜息をついたカミュは、私に近付いて頭を撫でてくれた。
「なん、」
「一人で、抱えていたんだろう」
「…カミュ、」
「俺達は、自分の思うままにお前への好意を押し付けていた」
「そんなこと、」
「そうだね、麗奈がこんなに追い詰められてたのに。僕達は身勝手すぎた」
「嶺二、」
「辛い思いさせてごめんね、麗奈」
じわり、涙が溢れてくる。私が悪いのに、弱い私が。謝る必要なんてないのに、それなのに。ごめんと謝る嶺二の顔は歪んでて、カミュも、いままでにないくらい真剣な顔をしていて。あぁ、こんなに思われていたんだと、さらに泣いた。
「私、弱いんだよ
この人ならって思える人ができたら、社長に認めてほしいって言うつもりだった。
でも、先に言われたら私は何もできなくて。私がクビになるならいいの、でも皆のうちの誰かがって思ったら、絶対に言えないって、思って」
言葉がつまる。けれど紡いだ言葉に、馬鹿かお前はと蘭丸が声を上げた。思わず蘭丸を見る。
「クビ?だからなんだよそんなこと関係ねぇ。するならすればいい
俺は仕事より、お前をとる」
「蘭丸…」
「アイドルだけが仕事じゃねぇだろ」
「うん、その通りだよ。
アイドルの仕事は楽しい、けど…麗奈といられるなら僕は辞めたって構わない」
「俺はスカウトされたから…そして女王のために仕方なくアイドルをしているだけだ。
クビになったところで困ることはない」
3人の言葉が、嬉しい。涙は止まらない。どうして、欲しい言葉をくれるんだろう。どうして強いんだろう。羨ましい、私も、強くなりたい。
「…ありがと、
私、シャイニーと話してくる」
君といれるなら
20131022
藍ちゃんもだしたかった。
そして本当はりんちゃんだったんだこれ…でも先輩のほうがいいと思って急遽変えました。