昼休み、尽八からLINEがきていて部室で食べようと言われた。朝は時間があったのでお弁当を作ったし、其れを持って部室へ向かう。

「今日は弁当なんだな」
「珍しく早起きしたからねぇ」
「1限で寝てたけどな」
「見てたの?」

まぁな、と笑う新開にどきりとする。あーあ、気付かなければ今こんな気持ちになっていないのに。じゃ、行くねと扉に向かおうとすると、廊下できゃあきゃあと黄色い声。あ、尽八だ。尽八がいるところはいつも黄色い声が聞こえるからわかりやすい。

「なまえ、迎えに来たぞ!」
「いま行く」

お待たせ、と廊下に出れば女子がたくさんいた。今までは、部活の選手とマネージャーだから恋愛に発展しなさそう、って思われてたのか何も言われなかったけど、視線が、痛い。ひそひそと、東堂くんと付き合ってるって噂ほんとなのかな、とか色々聞こえてくる。

「ねぇ、みょうじさん、ほんとに付き合ってるの?」
「え、あ…」

不意に、一人の女子に問われた。どう、どうしよう。付き合ってる、んだよ。そう、私は尽八と付き合ってる。これから、尽八に恋をしてくの、そう、決めたんだから。
尽八を見る。なにか言いたそうに、辛そうに、私を見つめている。本当に、私を好きだって思ってくれてるんだなぁ。恥ずかしいと嬉しいが、混ざる。けど、悲しそうなかおを、またさせてしまった。

「…うん、付き合ってるよ」
「そっかぁ…お幸せにね!」
「え、ありがと、う?」

周りの女子に非難されるどころか、よかったねー、おめでとー!と祝福されてしまった。とりあえずイジメ的な何かが起こることはなさそうで安心した。

「尽八、いこ。時間なくなるよ」
「あ、あぁ」

尽八は、ほんのりと頬を赤くして頷いた。何この人かわいい、と素直に思った。尽八が照れ屋なのは三年部活で一緒だったし知ってたけど、私の言葉一つでこうなった、と思ったら…私まで照れてしまう。顔が、熱いや。

「なまえ、いくぞ」
「ん、」

す、と手を出されたのでその手をとる。きゅ、と握られて、さらに顔が熱くなった。

(付き合う、ってなにするの)

2014.11.17