なっちゃんなっちゃん、好きだよ。
好きって言いたいけど、でも、我慢するんだ。
「なっちゃん!」
「美月ちゃんじゃないですかぁ!今日も小さくて可愛いですっ」
「うむむ、苦しいよなっちゃーん…」
ごめんなさい、と笑うなっちゃんに次は私から抱き着くと嬉しそうに頭を撫でてくれた。大きな手、だーいすき。
「お前ら、恥ずかしくないのか…?」
「え?ぜんぜん」
「つーか、恋愛禁止ってのわかってんのか!退学だぞ退学!」
なっちゃんの隣にいた翔が怒鳴るけど、私はへらりと笑って大丈夫だよと言ったらなんでだよ、と聞かれた。
「だって、付き合ってないもん」
「は?」
「ねーなっちゃん」
「えぇ、ボク達恋人ではないですよ?」
ちょっとしゅんとしたなっちゃんが可愛い。けど私まで悲しくなってきた。恋愛禁止ってことは好きになるのもダメなのかなぁと思ったけど、付き合っていないし互いに好きだとは言っていない。けど、なっちゃんは私の気持ちをわかってるだろうし、私もなっちゃんの気持ち、わかってるから。
好きだと言ったらダメ、なんて言い合ったわけじゃない。ただ、言ったら歯止めが聞かなくなりそうでお互いに口にしていない。ただ、なっちゃんがハルちゃんの曲を大好きって言ったり、ぴよちゃんが大好きって言ってるのを聞くと、私のことも大好きって言ってほしいなぁなんて思うけど。(あ、でも前に美月ちゃんの曲、ボクだぁいすきですって一回だけ言われたことあるかも)
嬉しいことに私となっちゃんはパートナーだし、曲を作る名目で二人でいられるから、中庭で二人でお昼寝もするしお買い物にだって行く。
いつだったか日向先生に付き合ってるのかって聞かれたことあるけど、りんちゃん先生がケラケラ笑って付き合ってないわよー?と言ってくれていた。まぁ、私たち子供のことは、日向先生もりんちゃん先生も、本当はどう思ってるかなんてわかってると思うけど。
「日向先生に聞かれたことあるけど、付き合ってないし好きなんて言ったことないって言ったらそうかって。なんか信じられないって顔されたもん」
「あのときはビックリしちゃいました」
「りんちゃん先生がフォローしてくれたってのもあるのかもしれないけどねぇ」
笑えば、翔は眉を寄せた。お前らはそれでいいのかよって。
「なんで?」
「だって、お互いに好きなら辛いだろ!」
「…そんなことない、とは言えませんけど…ボクは今のままでも幸せですよ」
「私もー。だって、秘密なんてのはバレるし大人を欺けるほど甘くないし。
でも、お友達で、好きとか言わないでいるだけで隣にはいられるんだもん
退学になって離れ離れになるほうが辛いもん」
「ボクも、同じです
本当は、言いたいなって思いますけど…ボクがアイドルになって、せんせぇ達に胸を張って言えるようになるまでは、我慢しようって」
「…なっちゃん、」
「だから、それまでは…いえ言ったあともずっとずーっとボクの隣にいてくださいね?」
「うん…っ」
「なぁ、今の何よりもアウトな発言だと思うんだけど!」
「え?パートナーとしてですよ?」
プロポーズみたい
(早く好きって言いたいなぁ)
20131021
よくわからない代物