面倒くさい。
彼の言葉はいつも私を傷付ける。でも私は、彼から離れられないんだ。
「アンタは…俺に何を望んでるんだ」
シュウの言葉に、私は「何かしてほしいことはないよ」と笑った。傍にいることを許してほしい。ただ、それだけなのだ。
「こうして、シュウが私の膝で寝てくれるだけでいいよ」
「…無欲だな」
「そう?貪欲だと思うけどな」
逆巻兄弟は人気だ。有名だ、色んな意味で。シュウのことを好きな女の子は沢山いるから、こうして私が隣にいることを知ったら嫉まれるだろうし嫌味言われたり、虐められたりするかもしれない。
もしそうなってもシュウには言わないけど。だって、面倒くさいで終わりだろうし。いちいち傷付きたくないのだ。
「あ、そうだ今日ってシュウの誕生日だよね」
「あぁ…そうだったかもしれないな」
「もう、自分の誕生日くらい覚えておきなよ
で、何ほしい?イヤホンとか新しいの買おうか?」
どうでもいい、とシュウは溜息をついて天井をむいていたのに私のお腹と顔を合わせていて。
「お前…今日は血の匂いがいつもよりすごいな…」
「うぁ、今日、アレだから」
「あぁ、生理か…どうりで」
起き上がったシュウは私の腕を引いて。私はすっぽりと腕におさまった。さらさらと髪をかきあげられて、ちゅ、とそこに唇を落とすシュウの服を掴む。
「シュウ?」
「誕生日、」
「え?」
「なんかくれるんだろ。
じゃあ、お前でいい」
耳元で囁かれる其れに肩が揺れる。シュウが私を求めてくれた、それがうれしくて。
「いいよ、あげる」
「仕方ないから貰ってやる」
「む、でも私がいいんでしょ?」
うるさい、と言わんばかりに首筋にシュウの牙が食い込む。つぷりと肉をえぐるような痛みに目を閉じて唇を噛む。リボンを外されて、ボタンを外される。いつもは、破かれるのに、
「んん…シュウ、っあ」
「…はぁ…甘い、っ」
ごくり、ごくりと喉を鳴らして私の血を飲むシュウに、ぞくりと身体が冷える。シュウの声に、指に、牙に、唇に、全てに、私は堕ちていく。
「はぁっ…ん…っ」
「美月、」
「っ、いま…ふぁぁあっ」
胸元に噛み付かれる。けれどいつもみたいに痛くなくて。痛いことは痛いけど、どこかそれは優しくて、与えられる快楽に、意識がすぐにでももっていかれそうだ。
「シュウ、シュウ…っ」
ふるり、身体が震えて私の意識はとんでいった。優しく頭を撫でて、口元が緩んでいるシュウを、私は初めて見たかもしれない。
ギフト
(あいのはじまり)20131018
シュウさま、お誕生日おめでとうございます。無気力万歳!
シュウが大好きでたまらない女の子と、その女の子を餌としても恋の相手としても気に入っている無自覚シュウのお話。
ですが最後は、シュウときっとくっつくんじゃないかなぁと。