たまらないよ。
くすりと笑った彼にぞくりと背筋が凍る。
「キミ…今ボクを拒否したよね?あぁ…イイ、もっと、もっと拒否して、冷めた目でボクを射抜いて…!」
「ひ…っ」
私は、彼が好きだ。どんなに変態だろうと彼が好きだ。もう後戻りなんてできないくらいにだ。彼に血を吸われることが幸せで、気持ち良くて。彼は、心にもない愛を囁く。
好きだ、可愛い、愛してる。
嘘だとわかってる、ただのその場の雰囲気を盛り上げるためだけに言っていると。けれどそれでも、嬉しいと、幸せだと感じてしまう自分がいるんだ。
「美月ちゃん、血、頂戴…ボクだけの血を、ねぇいいよね?」
「…いいよ、ライトだから…いくらでも、吸って?」
いただきます、と嬉しそうに笑う彼に見惚れる。ふわりと香る彼の匂いにドクリと心臓は跳ねて。耳元で、口を開ける音が聞こえた。
「愛してるよ、美月ちゃん」
「ふぁ…っ、ライト…っ」
「ん…っ…はぁ、美味しい、美味しいよ…っ」
じゅるじゅると吐息まじりに私の血を啜る彼に、痛みはとうに消え去っている私は、快楽に身を委ねた。
「本当、キミは可愛いよね」
「…嬉しい、ライト」
「ボクに酷いことされても、ボクを愛してるんでしょ?」
「愛してる、大好き、離れたくない」
「本当、可愛いなぁ…今すぐにキミを、殺しちゃいたいくらいだよ」
いいよ、ねぇライトなら構わない。死ぬならライトに殺されたい。ねぇキスして、と言ったら返事の代わりに甘いキスの雨。
「んっ…美月ちゃん、好きだよ、もっとボクを求めて」
「ライト、ライト…好き、もっと、もっとして…っ」
貴方は私を見下すように笑う。けれどそれすらも幸せで、もう抜け出すことなんてできないんだ。
愚かだと嘲笑う
(好き、愛してる)20131017
狂ったお話は初めてです。が、そこまで狂ったように感じないのが問題。
最初に拒否したのは、そうしたらライトが喜ぶからです。
ていうか短い…