ゆめ | ナノ
( P4主人公の名前は月森孝介で固定です )
「…寒い」
うんざりしたような顔つきで自身を抱きしめる彼女。
それは当り前だろう、という一言でも言ってやりたいものだ。女子高生特有のミニスカートで足は大いに晒されているうえ、コートもろくに着もしないで寒い、だなんて至極当然のこと。それがジュネスのフードコート、つまり屋外だったならば尚更だ。
「今日はテレビの中に行こう!」なんて誰からともなく召集を受けてたまたま道端で会って一緒に来たものの、俺と彼女以外の人間は未だに一人も影を見せない状態だ。
まあ、俺にとっては少なからずとも嬉しい時間だったりするわけだが(もちろん他のメンバーが嫌いだとかそういうわけでは決してない)こうも相手が不機嫌です、と断言するようなオーラをふんだんに振り撒いている状態でニコニコしているわけにもいかない。
「月森、寒いよ」
「ん、だったら、俺が暖めてあげようか?」
「? うん、ありがとー」
何をされるのかとよく理解しておらず頭の上にハテナマークを浮かべながら俺の方をじっと見つめる。まるで菜々子のようだ。純心無垢な瞳(ああ、綺麗、だ)。
俺は座っていた席から腰をあげて隣の席に座っている彼女をぎゅ、と抱きしめる。ふわり、シャンプーでも香水でもない、彼女の優しい香りに包まれて今この瞬間、俺だけが彼女の時間を、彼女自身を独占しているような気さえして満足感が胸いっぱいに広がる。
そして数秒間の沈黙のあと、声にならない悲鳴のようなものが聞こえた、(気がした)まあ声になっていないからどちらなのかはっきりわからないのだけれど、とりあえず自分が今置かれている状況を、彼女がようやく理解したというのは明確だ。
「な、ななななにしてるの、これ!?」
「おまえが寒いって言ったから、温めてあげてるんだけど。まだ寒い?」
「いや、温かいけどさ(って何言ってるんだわたし…!)ほ、ほら、みんなそろそろ来るし!」
「見せつけてやろうか?」
「いやいやわたしたちまだそんな関係じゃないでしょうが!」
「…まだ?へえ、俺、望みあるんだ?」
「そ、れは!」
「なあ、俺まだ寒いんだけど」
「わたしにどうしろっていうの(がっちり抱きしめられてて何もできないんだし)」
次の瞬間わたしの唇にそれはそれは甘い、甘い、雪が降ってきた。
氷水に角砂糖
やけにそこだけが温かくて、その熱を放すのがどうしようもなく惜しくて、月森の首に腕を回したら彼は至極嬉しそうに微笑んだ。
(よ、お前ら待たせたな…ってわああああ!!?)
(わ!?ば、ばか!大声出さないでよジュネス!)
(ジュネスじゃねーっつの!花村だって言ってんだろ…って月森、その後ろの黒いオーラはなんだ…?オプションか?俺にしか見えないなんだか特別なオプションなのか!?)
その後花村くんは3日間程学校を休みました。
番長だいすき…!だがしかしどういう口調で書けばいいかものすごく迷うorz
タイトル拝借 >>> 忘却曲線