Drop
しっとりとした肌に手のひらを滑らせ、粒を成す汗さえも愛しいと言うように撫でまわす。
ぷっくりと主張する赤い果実を口に含めば、びくりと背がしなって甘い吐息が吐き出された。
「んぁ、や…ぁ!チカッ…」
「嫌がってた割には随分と気持ちよさそうじゃねぇか、あ?」
「〜っShit!るせぇ!」
ただでさえ蒸気で朱が差しているというのに、ニタニタ笑う元親のせいで殊更赤みが増してより元親の欲を駆り立てる。
「な、政宗…」
「はっ、もうかよ!」
「わり…」
「ひぁ!ぁ、んっ」
ツプリと後孔に指を差し入れられくにくにとナカを掻き回す突然の違和感に体が跳ねた。
にんやりと笑みを浮かべて、ぬちぬちと鳴る厭らしい音が響くように態と乱雑に内襞を擦り上げれば、イヤイヤと赤く火照った首が振られた。
そのたびに湿度を含んだ艶やかな髪が首筋へと纏わりついてより淫猥さを晒しているなんて、当の本人は知らないのだろうが。
縋りつくように回された腕にクスリと笑って追い討ちをかけるように耳朶を甘く食んだ。
「ど淫乱。嫌がってるくせに感じてんじゃねぇか」
「ひぅ…ぁ…、しゃべ…ん…なぁ…」
切ない声が室内に反響し、届いた自分のそれに背徳感をくすぶられぞくぞくと背中が痺れた。。
いくら貸切とはいえ、いつここの従業員がきても可笑しくはない状況での行為なのだ。
何とも言えないスリルが堪らなく自身の快楽の壺を刺激して止まない。
「そろそろいいか…」
差し込まれていた指が引き抜かれたことに体がもの足らないと音を上げた。
「ちか…っはやくっ」
「お前なぁ…」
自ら足を開いて強請る淫靡な姿に、もう理性の言うことなど聞いていられる訳がない。
「気ぃ飛ばしたって文句言うんじゃねぇぞ?」
ぽたりと上気した白い胸に汗が落ちた瞬間、指とは比べものにならないぐらいの質量が胎内を満たし、スラリとした脚は震えて歓喜を表した。
「ひぁあぁ…っあぁ…!」
「くっ…キツいな…」
ぎゅうぎゅうと引きちぎらんばかりに締め付ける孔に眉根を寄せる。
何時もより熱いナカにクラクラと目眩がした。
「こりゃ…脱水症状起こすかもな…」
ふとそんな考えが過ぎるが、だからと言ってもう引き返せる地点などとうの昔に過ぎ去っている。
「いくぜ…」
グッと抉る様に自身を押し入ってくる元親に再度政宗は悲鳴を上げた。
粘着質な水音が厭らしく室内に響くほど激しく突き上げる。
最奥を突いたと思えば入り口あたりを浅く出入りさせ、より快楽を拾うように焦らさせる。
「ぃや…やぁ…ちかぁ…いじわる…ッしな…でぇ…」
ポロポロと涙を零して強請る姿は嗜虐心を揺さぶるばかりだ。
けれど元親も元親で
頭がくらくらする。
視界はぼんやりとぼやけて、何処にいて何がどうなっているかなんてもう分からなかった。
ただ感じるのは二人の荒い吐息と滴り落ちる熱い水滴。
そして遠慮なしに引っ掻き回す質量だけが感覚の全てを攫っていくのだ。
「…ッ、も…チっ…かぁ…っあぁ!!」
声は掠れて悲鳴のような声ばかりが喉からこぼれ落ちていって厭らしい水音に溶ける。
「ひぁ、ゃっ…ぁあああ…!」
凶暴的なそれがある一点を掠めた瞬間、強すぎる刺激が体中を駆け抜け白濁を吐き出し、それを境にぷつりと意識が途絶えた。
ふわふわ体が浮いてるような感じがする。
ふわふわ、ふわふわ。
ゆったりとしているがふとした瞬間に船の上を思わさせるその感覚に、少なからず吐き気を覚えてゆっくりと目を開けた。
ぼんやりと天井を眺めていれば綺麗な銀が視界を彩る。
「政宗…!」
どこかホッとした表情を見せる元親の姿が何だか可笑しくてクスリと笑みが漏れた。
「ち…っ…?」
名前を呼ぼうと動かせば、予想外に痛んだ声帯に首を傾げる。
「喉ガラガラだろ。ほれ、水飲め。自分で飲めるか?」
ずぃと差し出されたコップを受け取ろうと上半身を浮かせた。
が、途端にぐにゃりと歪んだ景色に再度ベッドへと体を戻すこととなる。
頭の中がぐぁんぐぁんとぐちゃぐちゃになって、ぐるぐると目が回るのだ。
紛らわすようにぎゅっと目を閉じれば、ひんやりとした手が瞼の上にそっと添えられた。
「ごめんな。」
どこかシュンとしたような声にあぁそうか、と自分の身に起こっていることの経緯を思い出した。
どうやらのぼせてしまったらしい。
そうなればここは銭湯の医務室か。
「バ、カ…チカ…」
「悪かったって…」
声色と気配だけでも、うなだれてるのが分かって小さく笑みを零した。
「もちろん…責任持って看病、してくれんだよな…?」
添えられた手に自分の手を乗せやんわりと頬まで移動させて頬をスリ寄せた。
「おうよ。一生看病してやる」
スリ寄せている頬とは反対の頬を撫ぜながらふっと笑う。
「なんだよ…一生って…」
その格好よさにドキリとしたなんて何だか悔しいから悪態じみた文句を言ってやる。
それでもやっぱりコイツはカッコイいみたいだ。
「俺の一生をお前にくれてやるってことだよ」
政宗は寂しがり屋だからな、とからりと笑って言う元親にバカ、と呟いて、偶にはありかな、だなんて考えながら微睡みに体を沈めたのだった。
-END-
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