「なに」
「……えへへ、カルテ大好きっ」
「……そう」
「うんっ」
すりすりと顔を胸にこすり付ける。
まるで猫のようだ。
カルテは表情を崩さないままフレンを見下ろしている。
しばらくしてフレンがカルテから離れると、拳を作り気合十分といった感じで彼に告げた。
「フレン、いっぱいいっぱいお料理の勉強して、カルテに美味しいもの沢山食べさせてあげるね!」
最後に「フレン頑張る!」と付け加えた。
笑顔を浮かべているフレンを見つめていたら、カルテは無意識に口を開いていた。
「……教えてあげようか」
「え?」
「料理」
フレンが拳を作ったまま硬直する。
しかしすぐに瞳を輝かせると、勢いよくカルテに詰め寄った。
「い、いいのっ? 本当の本当にっ?」
「別にいい」
平然と言い放つと、フレンは表情を更に明るめ、そして満面の笑みを浮かべて大きく頷いた。
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フレンは思っていたよりも不器用だった。
包丁を使えはまな板まで切ってしまい、調味料を間違えたり、踏み台から足を滑らし転倒したり。
まるで絵に描いたようなドジっぷりである。
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