花葬金魚 | ナノ


「ーっ・・・はあ、・・・っ」

威圧感から解放された巴衛はどっと膝をついた。まだ心臓が煩く音を立て、じんわりと汗がでる。奈々生に視線を落としすーっ、と聞こえてきた寝息にほっと心を撫で下ろした。無事でよかった。
この場はなんとか収まったが、このまま大人しく引き下がる神子ではない。またなにか仕掛けてくるだろう。ふう、と重たい息を吐く。ざわざわ。霧がかってる黒いモヤが巴衛の体に侵食し、蝕んでいく。嫌な胸騒ぎが消えることはなかった。