「それは・・恋」
「こ・・恋!?」
お昼休み。いつものように屋上でおっきなお弁当箱を広げて屯してる私たち。
朝のことを話したらおとなしく食べていたと思ったカルタちゃんの口からそんな言葉が漏れた。
「胸が痛むんでしょ・・?恋すると息ができなくなってその人を見ると苦しいって・・」
「・・・おお。カルタちゃん物知り・・ってか私が恋!?
私れんちゃんが好きだってこと!?」
あまりに信じれなくてちよちゃんに勢い任せに聞いてみた。
「僕に聞かないでもらおうか。
・・それにしても相手が反ノ塚とはな・・物好きだな君は・・」
ふんっとちよちゃんのいつものお決まりの憎まれ口。初めて会った頃はこれに心折れる日々が続いたけれど最近慣れてきたところなのに。また新な難題がだされようとしていた。
「私・・そんなつもり・・!だって、お兄ちゃんみたいな存在で・・!」
「恋はいつするか分からないんだよ・・?」
きゅうううんっ
カルタちゃんのこの言葉と小首を傾げる姿に女の私でも胸を打ちぬかれた。正直カルタちゃんみたいな女の子だったらよかったのに。ふわふわで可愛くて女の子で。
「カルタちゃんと結婚するー!」
「いや、まずいだろう!それは!」
がばっと抱きつけばちよちゃんのするどい突っ込みがはいった。それと同時に屋上のドアが開く。
「・・あ。渡狸。」
「ばんちゃん!」
「・・よお。」
ばんちゃんが歩いてくるのを見ておっきく手をふる。
「遅かったね・・?」
「ああ、悪ぃ。」
「ばんちゃんの好きなおかず残しておいたよー」
「なにしてんだよ。カルタに抱きついて。」
ばんちゃんに言われてはっとする。まだカルタちゃんに抱きついていた。慌てて身体を離す。
「あのね・・名前ちゃんの恋の話・・」
「・・・・・は?」
「カルタちゃん!?」
カルタちゃんのうっかりでばんちゃんにも私がれんちゃんを好きだということを話すことになってしまった。まあ、見方が増えるのは心強いことだと思っていたのだが。
「ばっかじゃねえ?」
開口一番、冷たい言葉が飛び交った。
「なにが恋だよ。そんなもんワルには関係ねー」
「ばんちゃんだってメロメロになった人がいるって言ってたくせにー!!」
「な・・!?アレはちが・・!」
「ほう・・それは初耳・・」
「それはぜひとも聞いてみたいな」
「だから!・・違げえーって!」
顔を真っ赤に二人にいじられてるばんちゃんを見てしてやったりという顔をした。
恋を馬鹿呼ばわりしたお返しだ。
(あれ?結局ばんちゃんの好きなひとって誰なんだろう・・)