( 花柄と怪獣 )
「ナマエさん今日暇ですか?
よければ街のほうに買い物にでもいきません?」
「わあ・・!ほんとうに!?ひま「、なわけないでしょう」
「!・・ジャーファル・・!」
あまりにも殺気をはなち機嫌が悪いジャーファルからなまえは一歩、後退した。
「ま・・まあジャーファル今日もご機嫌麗しゅう・・」
「全然麗しくないです!なにが暇ですか!あなたはご自分のやるべきことがなにひとつ理解できてないようですね!」
あまりに大きな声に耳を塞ぐ。
「(ババくん・・今日のジャーファルいつもと違うわ。鬼・・いや悪魔・・)」
「(猫の件・・確かバレたんですよね?それもあるんじゃあ・・)」
ひそひそとアリババと話していれば睨まれる。今回はやばい。少し丸めていた背筋を伸ばした。
「しゃきっとしなさい!」
「はい!」
「それにナマエ。遊びたいのなら仕事を終わらせてからいけばいいでしょう?いつもサボってるからいけないんです。」
「・・今回は言い返せない・・」
「それに。アリババくんとじゃなくても私といけばいいでしょう?」
「・・・はい?」
今なんて?私と?あのジャーファルと?
「いやだ。じょうだん・・」
「ジャーファルさんは仕事があるでしょう?無理しないでください」
「ナマエのためならすぐにでも終わらせられる自信はありますよ。ですのでアリババくんはお気になさらず」
二人がにらみ合い、火花が散ってる。真ん中で挟まれているものだからすごみが増して・・なんか嫌だなあ
「あの〜・・わたし仕事でぜんぜんかまわない」
「では勝負しましょうか」
勝負!?なんでそうなる?
「勝ったほうがナマエを好きにできるということで」
「いいですよ。じゃあお互い金属器と眷属器はナシってことでいいですか?」
「いいですよ」
「ストーップ!待ちなさい!!」
「「ナマエ(さん)?」」
「なに勝手に話を進めているの!わたしは許可してません!・・ジャーファル!こんな馬鹿げたことするのならシンに言いつけますよ!?」
息継ぎなしで大声をだしたものだから少し苦しく、はあ、と息を吐いた。言いつける。あながち嘘ではない・・が本当にできるのかと言えば嘘になるかもしれない。たとえ言ったところで真面目なジャーファルを知ってるシンドバッドは面白がり加勢する側になるに違いない。
「ナマエ・・そんなこと言われてもやめませんよ。すぐに終わりますので」
微笑んでるけど微笑んでいない。ぞぞぞ、と背筋に寒気が奔った。
「・・バ、ババ、く・・!」
ババくんなら分かってくれると思ったのに。
「ジャーファルさんの言うとおりすぐに終わります」
ジャーファルとは違う微笑みでそう言われたわたしはもう成す術がなく。
二人の背に手を伸ばし、叫ぶ。
「ま・・待ちなさい!・・ジャーファル!・・ババくんー!!」
「・・はっ!」
ここでわたしの意識は目覚めた。
きょろきょろとあたりを見渡し、どこかと確認する。自室のベッドだっった。
「・・夢・・」
なんて嫌な夢。しかもありえない。最近忙しいから疲れでこんな夢を見てしまったというのだろうか。頭を左右に強く振り、脳裏に張り付いた映像を消そうとする。だいたいジャーファルはあんなこと言わない。そもそも自分を取り合うなどあるはずがないのだ。
「嫌われてるもんわたし‥」
・・にゃー。声が聞こえた方に振り向けばノイズが擦り寄ってきた。
「あはよう。ノイズ。」
(あとで確認してみようか・・)
雑念をはらわなければ仕事だけでなく、なにもかもが手につかないと思った。
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「・・・ババくんはわたしのこと好き?」
「?、好きですよ」
「それはどんな意味で?」
「ん〜・・・尊敬の意で!!」
(なんだ)
「尊敬かあ」
「はい!・・・でもなんでですか?」
「いいのババくんは分からなくて」
「はあ・・・」
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「ねえジャーファルはわたしとアリババくんどっちが好き?」
「馬鹿なこと言ってないで手を動かしなさい。仕事増やしますよ」
「わたしはジャーファル好きよ」
「・・・!?いきなりなにを・・・!」
「あははは!嘘よお!やだ、ジャーファル照れて・・いたー!」
「ナマエは朝まで仕事と量が1000倍とどっちが好きですか?」
さあああ・・(血の気が引く音)
言ってることも怖いけどジャーファルの笑顔の方が何倍も怖い・・!
「ご・・ごめんなさいっ」
「おいこら!逃げんな!」
title;リラン
12.1228