( ガトーショコラを噛みしめて )
「ナマエ、あなたは少々お転婆がすぎますよ」
「ジャーファルはカルシウム足りてないんじゃないですか」
あー言えばこー言うって結局ジャーファルは怒る。正直わたしが発言したことに全てではないけれど怒るのだ。小言はもう沢山。耳に蛸ができるほどに。‥なんて考え方がベタ。
「ナマエ?聞いてます?」
「聞いてます。‥ですがこれ以上はジャーファルが嫌いになりそうです。」
「わたしもできれば言いたくないですが、‥」
ふう、とため息まじりのセリフを吐く。嫌いになる、と言ったのが効果的だったのかジャーファルは口を閉ざした。
「‥書類整理終わりました」
「‥ご苦労さまです。もうここはいいので、」
目を合わせてくれない。自分はジャーファルにとって嫌な存在でしかないのだろう。
「‥失礼しますね」
パタンと扉が閉まる。ジャーファルは閉ざされた扉へと視線をおくった。
「‥あなたはなにも分かってませんよナマエ」
ジャーファルの呟いた言葉はすっ、と空気に溶け込んでいった。