「あの頃の新一は可愛げがあったのにねえ」
俺がコナンだった頃の撮った写真を見ながらなまえはぽつりと言葉を洩らした。小さなため息と共に。じろりと睨めばなまえは慌てて口をつぐむ。わざとらしく口笛を吹くなまえに今度は俺がため息を吐いていた。
「ねえねえ、あの頃みたいに『なまえおねーちゃん』って呼んでよ!」
「バーロオ!俺はもうコナンじゃねーんだぞ!?言えるか!」
「けちい!」
やっぱり可愛くない!と口を尖らせて、なまえは身体を俺と反対方向に向けた。そしてまたぺらぺらとアルバムをめくりはじめる。いくらなまえでも子供の姿をじろじろと見られるのは成長した今はなんか気恥ずかしいものがある。俺はなまえの背中にもたれかかった。いきなり体重をかけられたことにより、なまえはぎゃあ、と可愛くもなんともない悲鳴を洩らした。
「そーいやさあ、なまえもあの頃は可愛かったよなあ。」
「いつ?」
「俺がコナンだって知らなかった頃のなまえはコナンくん、コナンくん、ってべったりで」
「ちょ、止めてよ!?」
「抱きしめたり、一緒に寝たり、風呂はいったり、」
「・・・もうやだ!忘れたい思い出なのにー!」
わあ、と座っていたソファに顔を埋める。恥ずかしい。あの頃は本当に知らなくて昔の新一みたいに可愛くてそっくりで、本人だって分かったときのあの羞恥心はいまでも忘れられない。
「なまえこそ『コナンくん』って呼んでくれねーの?」
「・・・っ!・・・だって、今は新一だし」
ソファに乗り、なまえに跨った俺に顔を赤く染め、視線を逸らす。二人分の体重が加わったことによりソファーがギシリ、と軋んだ音をたてた。
「お。いーもんめっけ」
棚に乗っていた黒縁眼鏡に手を伸ばす。それをかけた俺はなまえを見据えた。そうすればなまえの肩が小さく跳ねる。少し焦ってるように見えた。
「・・・新一?」
「なに?なまえねーちゃん」
「ーーーっ!?」
柔らかななまえの髪の毛に唇をおとす。ふわりと、桜のような甘い花の香りが鼻を霞めた。
「し、しん、」
「コナン」
「・・・だって眼鏡かけたって新一は新一にしか見えな、ひゃあっ」
なまえの首を舐めればぬるりとした生温かい感触に驚いたのか、なまえは甘い声を発した。折角我慢して口にしてやったというのにこいつは。この年になって、この外見でコナンの口調は恥ずかしいものと言える。あくまで視線をあわそうとしないなまえに少し苛立った俺はそのまま唇を首から鎖骨へ、胸へとはこばせる。途中、途中に強く吸い付き赤い花を咲かせた。その度に「ん、」と可愛らしい声が聞こえる。わざとか。俺を誘っているようにしか聞こえない色っぽいなまえの声に欲望を抑えるのに必死だった。だけどいとも簡単に崩してしまうのがなまえだ。指を2本挿入させる。
「・・・あ、ヒ、あっ!」
なまえの白い肌、肩が揺れ反応する。足を閉じようとしてたけどそうはさせなかった。力でねじ伏せてなまえの反応を楽しんだ。最初はゆるゆると指を動かした。次第に奥へ。膣内を擦り上げるよう強弱をつけた。
「や、だあっ・・ア、!」
「なんで?気持ちいいでしょ?」
低めじゃない。コナンに似たトーンの甘い口調で耳元で囁く。そうすればなまえの身体全体が震えると同時に膣内が締まり俺の指を締め付けた。
「可愛い」
「やめ、」
なまえは維持でも俺をコナンくん、とは呼ばないらしい。一度でも言わせたくなった俺は指をぬいた。
「新一、?」
「俺をコナン君、って呼ばなきゃ続きしない」
「いじわるう・・」
俺の言葉に瞬きしていたなまえだったがふにゃりと表情を崩し、涙を浮かべた。実はなまえの泣き顔が好きだったりする。もちろんセックスのときだけ。普段は泣かせたりしない。俺、馬鹿だ。
「・・コナン、くん・・」
消えるような声だったけどしっかりと俺の耳に届いた。なまえは耳まで真っ赤にして俺から顔を背けてる。ちゅ、と優しく頬にキスをした。
「新一、って呼びたい」
「俺もなまえって呼びたい」
そして、唇へ。自身をとりだし、なまえへあてがう。身体が強張ったように思えたけど痛くしないようゆっくりと挿れる。そのまま律動をはじめた。冷めた熱がまた身体を支配する。
「し、んい、ちっ」
「なまえっ」
ぎゅ、と抱きしめあう。途端奔った鈍い痛み。きっと行為が終わる頃には俺の背中には爪の引っかき傷が残っているに違いない。なまえが俺の背中に爪をたてた証拠。まあ、俺が激しくした、というのが原因なのだが。仕方ない。だって愛しくて愛しくて堪らないのだから。
「・・も、でる、」
「うあ!」
なまえは抱きしめた力をさらに強めた。はなった欲望をすべてのみこみ俺の頭を撫でる。汗ではりついた前髪を退け、俺の顔をしっかりと見つめてくる。、かと思えば
「やっぱりいまのままの新一がいい」
そう言ってなまえは笑って俺の唇にキスをした。
10万打企画/たきざわ様