100000 | ナノ



なんとペア温泉旅行が当たってしまった。どうしよう。どうしようもなにもこれは兄様と一緒に日々の疲れを癒して来いと神様からの贈り物なのでは。最近戦ばっかりだし、兄様と二人きりになれていないし。たまにはいいのでは?まだ行くと了承を得たわけではないけれど表情が緩んだ。

「あ?温泉?行くわけねえだろ」
「そんなあ・・・兄様」

才蔵の一言に一気に心が凍る。そうですわ、なにを期待していたのでしょう。けれど、そんなつれない兄様がなまえは好きです。

「はいはーい!アタシ、才蔵と一緒なら行ってあげてもいーよ」
「絶対行かせませんわ」

兄様の貞操は私が守らねば。甲賀者・・・と行くなど(しかも二人きりで)無理ですわ。六郎様や、筧様、弁丸様、皆声をかけてみたものの、断られてしまった。筧様においては男と女が二人きりで旅行に行くなんて〜と小言をくらいそうなので足早に逃げた。アナスタシア様には単純に行きたくない、めんどくさいって言われそうだし。アナスタシア様と兄様ってどこかなんとなく似てると思う。言ったら怒られるけど。あれ、じゃあ後は誰が残ってるんだろ?私が行くのを止めて、行きたい人に譲ればいいんだけど折角自分が当てたのだから行きたい。前から前から鎌之介が歩いてくる。指を向け叫んだ。

「ああ!」
「ああ?なんだ、てめぇ人の顔見るなり」
「いましたわ!ここに暇そうな殿方!」
「喧嘩売ってんのか」
「あなた休暇はもらえまして?」
「・・・は?」

なまえの言ってる意味が分からず顔をしかめた。そしてそのままなまえにより有無を言わさず連れていかれた。

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旅館へと到着する。ぐっと背伸びをした。空気がおいしい。煩い伊佐那海もいないことだし、ゆっくりとできそうだ。やっぱり兄様と来たかった。鎌之介様が布団へと寝転がった。

「寝る」
「え?今からですか?いくらなんでも早すぎません?」
「やる事ねーし、来てやっただけでもありがたいと思え。飯になったら起こせよ。」
「折角遠出して温泉旅行に来たというのに?」

呆れましたわ。観光とか、温泉に来たのですからお風呂とか、卓球とか、なんか色々あるでしょう!?揺さぶるが反応はない。

「ここでしかできないことありますのよ・・・もう、鎌之介様!」

そう叫んだ次の瞬間、視界が反転して、気がついたら布団の上にいて天井と鎌之介の顔が見える。鎌之介が私を押し倒している光景に呆然とした。が、すぐに我にかえる。

「ちょ、なんで跨るんですの!」
「男と女がやることっつったらこれだろ」
「違いますわ!なんなんですのその勝手な解釈!変態っ」
「黙れ」
「んぐっ・・・」

鎌之介の唇が私のを塞ぐ。お互い乾燥しているのかカサカサした感触がする。本当になんて野蛮な方。
ぬる、とした生暖かい感触に身体を強ばらせた。舌が口内を犯していく。退こうと鎌之介の胸を押してもびくともせず、されるがまま。ぴちゃぴちゃと唾液が混ざり合って響く音が妙に生々しく耳を塞ぎたい気持ちでいっぱいいっぱいだ。変な感覚にじわりと涙が浮かぶ。気持ち悪い。

「・・・っ、なんだよ泣くほど嫌だったのかよ」
「わ、かんな、っ」

急な出来事に頭がついていかない。なぜ鎌之介は自分にこんなことをしたのだろう。ぐしゃぐしゃと泣き崩れるなまえに舌打ちする。先ほどの行為を再開させるようゆっくり手を肌へ這わせた。それにピクリと小さな反応を見せる。乳房を摘まんで引っ張ったり転がしたりしてゆっくり弄ると甘い声を漏らした。下腹部に手を伸ばせば少しだが潤んだ音がする。ほんの少し胸を愛撫しただけで反応をみせてくれるとは。

「濡れてんじゃねえか」
「いや・・・!」
「嫌な相手に感じてんのはテメエだろ」
「んあ!?」

濡れているとはいえナカはまだきつく一本しかはいらない。ゆるゆると律動をはじめ次第にぐちゅぐちゅと水音が増していくと指の数をもう一本増やすとなまえの反応が変わる。声も一層甲高いものへと変わり止まらない。膨れ上がったクリを愛液をつけた指で何度も擦りあげる。刺激に腰が逃げようとするがそれをさせまいとつかまえて指を折り曲げた。

「・・・ひっ、あ、ぁあ!」

自分の指に反応してくれている。それだけなのにそれがすごく嬉しい。きゅん、と締め付けがよくなり絶頂が近いことがわかる。

「ぅあ、や、・・・っ」
「イクならイクって言ってみな」
「っ、そ、なの、いわな」

指の動きがゆっくりになり熱が冷めていく。言わないとイかせてもらえない。

「ほら」
「・・・イかせてくださいお願いしま、ひぁ!」

一番良いところを、そこだけをせめたてる。だんだんもう一度快楽の波が押し寄せる。

「っは、あ・・・」
「俺の指、しっかり咥えこんでひくつかせて淫乱だな」
「や、ちがっ、あ、あ、っんああ!」

目の前が真っ白になって果てた。余韻が残る中何かが膣へ挿入されようとしている。鎌之介自身だ。さあっと血の気が失せる音がした。

「待ってくださいまし、それだけはっ」
「テメエだけ気持ちよくなってそれはねえだろ?俺も楽しませろ」
「ん、ふ、うっ」
「力抜け」
「あ・・・あ、」

奥へ、奥へ、硬いものがのみこまれていく。なにかが変だ。奥を突かれるたびぞわぞわとしたものが駆け巡っていく。

「あ、んま、締め付けん なっ」
「ーーー・・・っ!」

欲望が勢いよく放たれた。数回にわけて吐精する。

情事後一切言葉を交わさず背を向け横になる二人。なにも言わない、言ってくれない。こんなはずじゃなかったのに。手を伸ばし流れる髪に唇を落とす。耳元で囁かれた言葉に聞こえないふりをした。

お前が好きだ。