100000 | ナノ




「トランクス組手の相手してよ」
「おーいいぜ!そのかわり手加減なしだからな!」

その言葉の通り、全く容赦なくこてんぱんにされた。息があがり、地に滴り劣る大量の汗を腕で拭う。対してトランクスはけろっとした涼しい顔つきでただなまえを見ていた。

「ひどい、ほんとうに手加減なしなんて」
「はじめに言ったじゃんか。それに闘いにおいてはどんな奴にも手は抜くなってパパが言ってたぜ」
「サイヤ人と一緒にしないで!」
「そんなこと俺に言われても・・・ん?」

なにかに気がついたトランクス。気がつかなければよかったと、もごもごしながら視線を逸らす。、がなにかを言いたそうになまえを見てはまた視線を逸らす。

「?どうしたの?」
「う・・・あ、あの・・・透けてる、よ・・・」
「へ・・・」

そう言われて視線を下へずらす。Tシャツが汗でぴったりと張り付いており、まだブラをつけるところまで必要ないせいか乳首までまるわかりで、慌てて隠した。

「トランクスのえっち!」
「な!違うよ、たまたま見えただけで」
「それでも見たことには変わりないじゃん、しっかり見てた!」
「じゃあブラぐらいつけろよ!」

言い合いばっかりで謝る気配がないトランクス。酷い。でもわざとじゃないのに。トランクスも同じだと思うが、ダメージがずいぶんと違うと思う。このままでは、悔しい。にやりと、口角をあげ、笑った。

「もしかしてトランクスってば・・・」
「なんだよ」
「どうせ触りたい、んでしょ」
「は、はあ!?なんでそうなるんだよ!」
「男の人はおっぱいが好きなんだって言ってたもん」
「誰がだよ」
「トランクスのお母さん」
「(ママ〜・・・っ!)」
「仕方ないから触らせてあげるんだからね!」

隠すためあげていた手を下す。まだ少し、膨らみが分かるそれにトランクスの喉がごくりと鳴った。震える手でそっとそこへ伸ばす。お互い恥ずかしいのか視線はあわせようとしないままついには、ふにゃん、と柔らかいものの感触が掌に伝わり、身震いした。その時、なまえから「ん・・・」と発せられた声になにかが背中を駆け巡り、なんだかいやらしい気持ちになり、変な気分になる。

「ど、どう、・・・だった?」
「ど、どうって・・・」

ドキドキ心臓がうるさい。きっとお互いの顔は真っ赤で、唇をゆっくりと動かそうとしたとき、知ってる声が響いた。

「あー、いたいた!トランクスくんになまえちゃん!」
「ご、悟天!」
「あ、また二人で組手してたんでしょ!?いいなあ僕もいれてよ!」
「おう!ってかはいれ!」
「私、汗でよごれちゃったから着替えてくるから、先に二人でやってて!」
「うん、わかった!」

走り去っていくなまえを見送って、組手を始めようと準備運動をはじめる悟天。ふと悟天がトランクスの異変に気がつく。

「どうしたのトランクスくん、顔真っ赤だよ」
「・・・っ!」

まだ赤みがとれてないらしい。ちょうど名前がいなくなったし早いとこ悟天と組手をしてなにもかも忘れてしまうぐらい暴れてしまおう。

「気のせいだろ。」
「そうかなあ?なまえちゃんも顔赤かったし、なにかあったの?」
「ーーー・・・いいから、さっさと組手やろうぜ!」
「わ!いきなりは卑怯だよ、トランクスくん!反則!」


後で皆に心配されるぐらい、ボロボロになるまでやりあったのに、なまえの胸の感触が消えなくて、あの声が頭から離れなくて、集中できなかったせいか、はじめて悟天に負けた悔しさはきっと一生忘れない。