100000 | ナノ



今日はお祭り。飲んで騒いで。始まってから30分後の光景はそれはもう酷いものだった。私は仕事を片づけてから参加することになったんだけど当然全て終わるはずもないので、きりがいいところで仕事を終わらせて皆がいるところへ向かう。ちなみにジャーファルさんも仕事で残るはずだったのだがシャルによって強制参加させられてしまった。可哀想に。衣装を着せつけてもらって、向かう途中行きたくないなー、なんて心に思いながら我が王と皆を見つけた。手を降り声をかける。

「わあ!なまえ可愛い!」
「もうピスティ!お世辞が上手なんだから」


恥ずかしいなあ、と笑う。ピスティはそんなことないよって笑いかえしてくれた。


「ね!ジャーファルさんもそう思うよね?」
「ちょっピスティ!?なに聞いてっ」


ジャーファルさんはグラスに口つけたまま目を見開いて私を見ていた。にまにまと今度は悪戯顏で笑うピスティ。私の顏はどんどん真っ赤に染まっていく。恥ずかしい。ピスティったらなにもジャーファルさんに聞かなくてもいいのに!


「あ、あの!ジャーファルさん今のは忘れて、」
「可愛いです」
「へ・・?あ、あの?いま、・・」
「とても可愛らしいと思いますよ。なまえのために作らせた服です。とてもお似合いです」
「あ、う、」


ピスティだけじゃなくて他のみんなもにやにやと笑っている。ジャーファルさんは酔っているんだ。きっとそう。でなければジャーファルさんがこんなこと言うわけないんだから。頬がほんのり赤いとこからお酒は飲んでいる。だから。
なんだか居たたまれなくなって、机にあったグラスにはいった飲み物をぐいっと飲み込んだ。


「あ!それ俺の!」


声をあげたのはシャルルカン。どうやら飲み物はシャルルカンのものだったようだ。つまり、中身は。
そこにはできあがったなまえがいた。


「ジャーファルぅ〜・・」
「え、なまえ?」


するり、とジャーファルの首に腕がまわされる。密着されたことから胸があたって、ジャーファルの顏が真っ赤に染まった。


「あ、あの、なまえ?」
「もぉう、ジャーファルさんずるいですよう、仕事サボってぇ・・」
「別にサボってるわけでは、」
「サボってるじゃあないですかあ」


むぎゅう、とさらに密着。華奢な身体に柔らかそうな白いシルク肌。甘い香りに、ぷっくりとした艶やかな唇に理性が崩れて惑わされそうだ。


「なまえ、離れて・・」
「ジャーファルさんだいすきい」
「っ!?」
「だいすき、あいしてますう」
「な、な、な!?」


かぷ、と耳を噛まれた。ぞわり、となにかが背中を駆け巡る。


「わたし今日は大丈夫な日なんですよお、いっぱい愛してくださいね?」


この言葉とこの時の表情にジャーファルはぴしり、と身体を硬直させて、その場に倒れこんだ。


「ジャーファルーっ!?」


もうお酒は飲ませないようにしよう、とジャーファルは心の中で誓うのだった。





「やっぱりなまえはジャーファルが好きだったのね!」
「え?なんの話?」