昼休み。大事件がおきました。
「・・お昼が買えない・・!」
まさか、購買というものがこんなにも大戦争だったとは。人混みだらけでチビで体格もよくないわたしではこの中にはいることができない。食べ損ねてしまうと気がついたわたしは焦りながらその中へはいろうとする。今日に限ってお弁当を忘れてしまうとは。自分を呪いたい。
「・・っ、ど、いて、くださっ」
どいてくれる、とかましてこんなかすれた声で気づいてくれるわけないって思ってたけど。
「おばちゃん!ミックスサンドと焼きそばパン!」
「はいよー」
「きゃっ、」
隣にいた男子生徒に無理やり割り込まれバランスをくずしたわたしは後ろへ倒れる。
どうしよう。潰されるー。
ぎゅっと目を瞑る、がふいに肩に手の感触がする。見てみると見覚えのある顔が視界にはいった。、と同時に蘇る記憶。
「大丈夫か?」
「・・、あ。はい」
「なにが欲しいんだ?言え。」
「え!?」
正直戸惑った。怖いし、憎たらしいイメージしかなかったから。
「あ・・じゃあサンドイッチ・・」
「少食だな。」
彼はそう言って自分のぶんとわたしのぶんを頼んでくれる。
あれれ?実は結構優しいひと?
「おまえ馬鹿か」
渡される袋とともにふってくる嫌みに身体を硬直させた。前言撤回。優しくもなんともありませんでした。
「おまえみたいなチビで身体が小さいヤツがひとりで行くとこじゃねえよ。誰か男に頼めば良かっただろ」
袋を破ってパンにかぶりつく。
「・・そんなひと、いないもん」
「ああ?」
「・・っ」
「身体が小さければ声も小さいってか。最悪だな」
なにそれ。失礼。酷すぎる。
確かに言われて仕方ないけど。初対面なのに!昨日といい今日といいこのひとはなにかわたしに恨みがあるんだろうか。
「、わたしは確かに身体も小さいし、声も小さい、です。でもだからって初めて会ったのに酷すぎませんか!」
それだけ一気に言えば肩を上下に揺らし呼吸を整える。こんなにひとにはっきり言ったのは何年ぶりだろうか。彼はびっくりした表情でぽかんとしている。あ、お礼!言い忘れたことを思い出した。
「あ、あの!助けてくれてありがとうございました!」
「・・ぶはっ!お、おま、」
なぜか笑い出す彼に首を傾げる。
「あ、あの・・」
「怒ったりお礼言ったり忙しいやつだな」
・・笑った?びっくりした。彼にこんな表情があるのだと。
「俺は火神大我」
「!・・わたし、黒子純っ」
「お前面白いよ」
それが彼がわたしへの第一印象みたいでした